事業承継が上手くいかない人の思考パターン。

time&money

60代の私の社長仲間からの質問です。

2つピックアップさせていただきますが、どちらも共通した悩みです。

何かというと、自分はオーナーとして残り、次の社長に事業承継するというものでした。

身内に事業承継するなら【10年】の覚悟を持ちましょう。

1つ目の質問。

Q現在、親族か従業員に後継者がいない。でも、何とかがんばって身内の人間(血縁もしくはベテラン社員)に継承したい。アドバイスがほしい。

私は彼に逆質問しました。

「これから10年以上、社長業を続けながら、後継者を育成する覚悟はありますか?」

そして、もうひとつ、質問しました。

「次にやりたいことはありますか?あるなら、10年以上、それを我慢できますか?」

さらに、もうひとつ、質問を重ねました。

「10年間、会社を維持する自信はありますか?」

長年のつき合いのある社長仲間の一人でしたから、一見失礼な質問に見えますが、彼の気持ちが分かるだけに、失礼を承知で3つの質問をしてみたのです。

もし全問に答えられなければ、考え直した方が彼のためでもあり、大事な周りの人たちのためでもあると考えたからです。

・・・即答はひとつもありませんでした。

「覚悟はできている!」
「やりたいことは、会社を存続することだけ!」
「大丈夫。業績は任せとけ!」

仮に、彼に揺るぎない気持ちがあるなら、身内への継承はできる・・・かもしれません。でも、たとえそうだとしても、10年後に100%継承できているかは、やってみないと分かりません。

10年後に継承できていなければ、再度先ほどの3つの質問を投げかけたら、答えは一緒でしょうか?

彼は10年後、70歳を超えています。年齢や健康問題は大丈夫なのでしょうか?

・・・社長仲間の彼からは、今の時点で返答はありませんでした。

私は、彼に、自分の体験も踏まえて、次のようにアドバイスしました。

身内は3年で失敗、第三者は1年で成功。

・・・私は、50歳で事業承継することを決め、身内の後継者候補の育成に3年かけました。

その結果、ことごとく失敗し、5人の社員を会社から失ってしまいました。

焦りすぎたのです。

かつてほどの事業に対する情熱が湧かず、商品のネット化・業界再編の波に乗り切れていない自分に苛立っていました。

後継者の育成を3年でやり切ろうとすることが、そもそも間違いだったのです。

人材によっては、育成のうまさによっては、短期間で継承することもできるでしょうが、焦りからの3年は、ボタンの掛け違いそのものだったのです。

「桃栗3年、柿8年」ということわざがあります。

実を結ぶまで、それ相応の時間がかかるという意味ですが、身内への社長業の継承は、会社の存続では一番大事なことですから、10年以上の時間をかけるぐらいの覚悟が必要なのです。

私は身内への事業承継に失敗した後、会社を第三者に売却する方向にかじを取り、1年後、売却という方法で事業承継に成功したのです。

ここで伝えたいキーワードは「10年」です。

●身内を継承者として育てるなら、10年の覚悟を持とう
やりたいことを10年我慢できるか、自分と相談してみよう。
●10年間、今までと同じような事業意欲で企業経営できるか、沈思黙考してみよう。

Aこの3つのうち、一つ以上に✕がついたら、第三者に事業承継することを考えてみたらどうだろう・・・そうアドバイスしたのです。

ところで、あなたへのご質問です。

Q.廃業する社長の平均年齢は何歳でしょうか?

A.70歳です。相談を持ち掛けてきた社長仲間は60歳前半ですから、10年後は70歳を超えています。

もうひとつのご質問です。

Q.一番業績の芳しくない社長の年代を知っていますか?

A.70代です。彼の会社は、後継者がいないまま、10年後に業績の芳しくない会社になっているかもしれません。そうなると、会社を売却するにしても、会社の価値は下がっている可能性が高いわけです。

社長をスカウトするなら、自分より高い報酬を提示しましょう。

2つ目の質問。

Q社長候補を外からヘッドハンティングしたいが、お願いできないかな?できたら、そんなにコストを掛けたくないんだけど・・・。

「ヘッドハンティングの対象者はいますか?」

私はまず、そう聞いてみました。

いる場合は、口説くことになりますが、いない場合は、

a.人脈を手繰って出会いを自ら作る。
b.プロに頼む。

どちらでしょうか?続いてそう聞いてみました。

彼は、「対象者がいないので、bでお願いできないか」と答えてきました。

次に、「年俸はいくらで打診しますか?」と聞いてみました。

a.自分の年俸より高く。
b.自分の年俸より低く。

「できたら、b で」と彼は言ってきました。

さらに、「まずは何年、社長をやってもらいますか?」と聞いてみました。

a.3年。
b.1年。

「まずは1年やってもらって様子が見たい」そう言ってきました。

社長の人徳や相手との相性にもよりますから、それぞれ、どれが正解か、はっきりとは断言できません。

ただひとつ言えることは、相手に本気を伝え、相手が心を動かすのは、3つともb.です。

●自ら汗を流して、人脈を手繰ろう。
●社長ハンティングするなら、自分よりも高い年収を提示しよう。
社長承継できるかどうかは、ある程度の年月の中で見極めよう。

Aこの3つのうち、一つ以上に✕がついたら、第三者に事業承継することを考えてみたらどうだろう・・・そうアドバイスしたのです。

60代社長は【ストレスフリー】を望んでいる。

2つのQ&A、いかがでしたか?

2人とも、まだ結論が出ていませんが、今、第三者への会社売却も視野に入れて活動しようとしています。

以前より顔が明るくなってきました。聞いてみると、選択肢が増えたことで、少し気分が楽になったというのです。

その気持ち、私は大変よく分かります。

早く事業承継にけりをつけ、ストレスから解放されたい--それが我々60代の中小企業社長のホンネだからです。

早く事業承継するなら、いちばん速い方法は会社売却でしょう。

会社をそのまま維持して社会貢献するのか、会社売却して、個人の立場で社会貢献するのか、どちらがあなたの幸せでしょうか?

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