第三者に事業承継するなら「同業」か「取引先」がベストな理由

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年末が近づいてきました。
1年の総決算ですね。
来年に向けた準備という観点からも、年末まで踏ん張りましょう。

さて、いま後継者がいない経営者のあなたに、私の経験からひとつのアドバイスです。

将来に向けて会社を誰に、いつ事業承継していくのか、今のうちに考えておきましょう。

「同業」は、勝ち負けを争うライバルという存在だけ?

同業は基本、ライバルですね。

同じような商品・サービスを顧客に提供しています。
「A社より当社の方が性能が良い」
「B社より当社の方が値段が安い」
そんな競合優位性をもって争います。

だから、「勝った負けた」というシーンが日常的に展開されます。
それに伴う喜怒哀楽の感情によって、なかなか仲良くなれないという状態にもなってしまいがちです。

でも、果たして同業はライバルなだけなのでしょうか?
そうではありません。

同業が自分たちの業界を守るために業界団体をつくって、業界自体の発展のために動いているという一面もあるからです。

「うちでは受けれないけど、C社の君の会社ではできるよね?」
などと、顧客を融通し合うことだって日常的にありますからね。

そして、お互い会社の状況は理解し合っているケースがほとんどでしょう。

だったら、「お互いさま」精神で、ヨコラインで一緒に組んで仕事をするというのはどうでしょうか。
というよりも、売上やシェアを伸ばすなら、いちばんマッチする存在のはずです。

日頃のライバル意識を棚に上げ、冷静に考えてみましょう。

私の場合は、同業社との交渉を続けて、1年後にその同業者に会社エグジット(売却)しました。

「取引先」は、商品の流通を止めないセイフティガード

取引先とは、商品・サービスを提供してくれる「仕入先」と、購入してもらえる「顧客」の総称です。

仕入先と顧客の間にいるタテラインの存在ですから、仕入先、顧客どちらに会社エグジットしても、業務がストップすることは基本ありません。

日頃からお世話になっている親しい取引先なら、こちらの強みと弱みは知っていますし、窮状を伝えると相談に乗ってもらいやすいということもあります。

私の会社も、何度か仕入先に窮状を救ってもらったこともありましたし、いくつかの顧客の社長には、経営する上でのメンターになってもらっていました。

やっぱり、相談を持ちかけられるのは、普段からコミュニケーションが取れて信頼関係の厚い相手に限りますからね。

そうじゃない相手に悩みを話すと、「会社は大丈夫なの?」と相手の不安をあおったり、伝言ゲームで、「あの会社、ヤバいぞ」という噂が立ってしまうかもしれませんからね。

要注意です。

同業・取引先に事業承継する5つのメリット

さて、それでは同業や取引先に事業承継→会社エグジット(売却)するメリットは何でしょうか?

・値引き合戦で足を引っ張り合うことがなくなる
・社員の雇用維持がスムースにできる
・ムダを省いて生産性アップ
・人手不足が解消
・短期間で事業承継できる

以上5つが、私が会社エグジットした後に得た大きなメリットでした。

特に、会社エグジットによって辞めた社員がゼロだったのはうれしかったですね。

私にとって、社員の雇用維持がいちばん大きな課題でしたので、それがクリアできて本当に良かったと思います。

「後継者がいなくて廃業」が6割。事業承継は待ったなし

私のように後継者のいない中小企業の経営者は日本全体の6割を占めています。
しかも、60代以上の経営者が6割。

今のうちに事業承継を計画しておかないと、廃業せざるを得ない状況になるかもしれません。

ちなみに、1年間で休・廃業する会社の数は4~5万社。
そのうちの6割が黒字廃業です。
ということは、その多くは後継者不在による廃業ということになります。

早期にということであれば、私のように、同業・取引先を事業承継の対象にしてみてはいかがでしょうか。

ご参考までに。

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