社員は「転職して構わない」って、社長として無責任?

社長として、会社をマネジメントしていく上で、あなたにとって、社員ってどんな存在でしょうか?・・・変な話かもしれませんが、「一匹狼」でいいのなら、そもそも社員は要りませんね。

1.中心は社員? 仕事?

①社員の強みを生かして組織を作ってみました。

②仕事のミッションの達成に合せて、社員を集めてみました。

でも、現実はなかなか思うようにいきません・・・。

2.これが中小企業の人づくの法則。

3.出戻り社員でもいいじゃない?

1.中心は社員? 仕事?

①のように、そこそこの成績を収めていた社員をリーダーにして、新規開拓の営業チームを作ろうと考えた時がありました。

リーダーにした社員の強みは何だろうと、本人からのヒアリングも含めて分析したところ、リーダーの強みは、こちらか攻勢をかける新規開拓型営業ではなく、むしろ接客サービス業に向いていることが分かりました。

ところが、彼の強みを活かす部署が当社にはありませんでした。しかも、新規開拓型のリーダーは、彼をおいて他に該当者はいませんでした。

大企業ならいざ知らず、小さな会社には限界があります。

・・・Mには、予定通り、新規開拓の営業チームを任せることにしました。

結果から言いますと、Mは数年後に退職し、接客サービス業の会社を、自分で起業しました。

②のように、あるプロジェクトを起こして専門チームを作った時、私はそれに合せ、外から複数の経験者を採用しました。

過去の実績を持った人間たちでチームを作れば、ミッションは短期間で達成するだろうという考えからでした。

ところが、一人ひとりの個性が違い、なかなかチームワークが取れません。

かつて、ジャイアンツが他球団から四番バッターを寄せ集めたものの勝てなかった状況と似ています。

できるメンバーたちを集めても、リーダーがいて、チームワークが取れなければ、結局はうまくいかないものです。

そんな経験から、私はひとつの法則を見出しました。

中小企業の法則です。

2.これが中小企業の人づくりの法則。

最初は、求める人材にマッチングすると思って採用しても、後で違ってたということは往々にしてあるものです。その場合、企業規模からして、中小企業にとって、適材適所の受け皿がないことが多いものです。

そんな時、どうするか。

・メンバー一人ひとりの強みをキャッチしておくこと。(社長)

・組織の仕事上のミッションはしっかり果たしてもらうこと。(社員)

この二つを前提に——。

——メンバーの本来の強みが自社で活かせなくても、将来その強みを活かす前に、今のミッションを達成してもらうこと--

これが、中小企業の組織づくり、人づくりの法則です。

数年後には転職するかもしれません。

起業するかもしれません。

それを恐れるのではなく、むしろ焚きつけてあげるぐらいがいいのです。

仮に転職・起業するにしても、それまでの間に業績を残してくれますし、後任を育ててくれます。

ひょっとしたら、その人間の強みが活きる分野、部署を、彼が自社につくり上げ、ずっと会社に定着してくれるかもしれません。

あるいは、自社で積み上げた仕事が、本来の強み以上に強くなるかもしれませんね。

3.出戻り社員でもいいんじゃない?

人間の強みは固定されたものではありません。

あるいは、いったん外の空気を吸って、出戻ってくるかもしれません。

会社の生き方、社員の生き方は対等と考えましょう。

その二者の交わるところに社員採用の醍醐味があります。

それを忘れたくないものです。

ちなみに、新規開拓のリーダー社員は、起業した後、そのサービス業の分野で成長しています。

メンバーの成長は、会社を離れたにしてもうれしいものです、

なぜなら、成長の原点が当社にあったからです。

彼は、こう言っています。

「サービス業も、新しいお客様を自ら開拓しないと生き残れません。あの時、リーダーを張らせてもらったおかげですよ」