前回のYとの打ち合わせは、売却予定先のH社長への対応のしかた、心構えについてでした。
今回は、いよいよ会社の価値を金額に置き換える、つまり会社の査定についてでした。
会社の値段は、○○価値を加味しよう。
「がくさん、あなたは、自分の会社をいくらで売りますか?」
ついに来たか、そう思いました。
顧問税理士のYが、3回目の打ち合せで、単刀直入に質問してきたのです。
第1~2回目で、以下の打ち合せは終わっていました。
・会社を売却するまでのスケジュール確認。
・会社の強みと弱みの整理。
・交渉時の留意点。
・先方に渡す資料の確認。
そして、今回の打ち合せは、会社の査定についてでした。
「〇〇〇〇万円ではどう?」
「その根拠は?」
Yは、日頃は優しいのに、授業になると厳しくなる女性教師のようでした。
「貸借対照表の資本合計が会社の価値じゃないかと思ってね・・・」
「がくさん、それでは話になりません。確かに、おおざっぱにいえば、
会社の現在価値はそうかもしれませんが、それだけが価値ではないです」
「・・・どういうことかな?」
「損益計算書の税引き前当期利益が入っていません」
「貸借に反映されているじゃない」
「そうじゃなく、将来価値を加味しましょうと言っているのです」
目に見えないけど、他に、値段にできる価値がある。
「将来価値・・・?」
「そうです。会社を売却した後、従来通りでいけば、3~5年は同等の利益が上がるはず。それを加味すべきです」
(そうか!今の社員と顧客構成でいけば、確かに何年かは同じ利益を弾き出せる)
私は、Yの言葉を具体的にイメージすることができました。
「もうひとつ、社員・顧客価値を、のれん代として加算してみてはどうでしょうか?」
・・・そんなやり取りが1時間ほど続きました。
会社の強みを、必ず言語化しておこう。
「どうですか?」
Yは、厳しい教師から、優しい女性に戻っていました。
私の中を、感動が駆け巡っていました。
「25年の間に、意外と会社の価値が上がっていたんだね。知らなかった・・・社員とお客様のおかげだね」
1週間後に、売却予定先の社長、Hとの交渉が再スタートします。
私は、自分の中に自信がみなぎっていくのが分かりました。
後は当日までに、Yとの打ち合わせで整理できた会社の強みと実態を、自分の中で腹落ちさせることでした・・・。
☆次に続く↓