社員の定着と業績アップ、両方を同時に手に入れる、とっておきの方法があります。

talent

人材採用の広告代理店を起業してから12年ほど経っていたでしょうか。
私は、ある中堅社員からの悩みを聞いている時、前々から温めていた妙案を実行する時期が来たと確信しました。

これで№1を取りたいという、自分が設定した強い欲求が、タレント目標。

 「若いうちに№1になれって社長はいつも言っていますが、上には上がいるので難しいです」

入社7年目、営業の中堅社員がある時、プレッシャーから開放されたかったのでしょう、二人で雑談をしている時、弱気な発言をしてきました。

「上には上がいるって、誰と何を比較して言っているの?」

私は聞いてみました。

「毎週、毎月、3カ月ごとにランキングで発表される売上達成率と件数達成率ですよ」

彼は、ため息交じりに答えました。

率とは、名古屋の同業における同クラスの総合売上達成率や件数達成率のことを言っています。

(それも一理あるな)

私は、最近自分の中で温めていたことを伝えるタイミングだと思いました。

タレント目標を作ろうと思っているんだ」

答えになっていない――そんな思いがよぎったのでしょう。

彼の顔は曇りました。

君の得意技で、1年かけて№1を目指すんだよ」

彼の口が開きかけて・・・閉じました。

質問する内容が思い浮かばなかったようです。

「君は〇〇商品が得意だね。たとえばその売上絶対額で、名古屋№1になればいいんだよ」

「いいのですか?通常の目標で№1にならなくても・・・」

不安と期待が入り混じった顔で、彼は聞いてきました。

「いや、少なくとも通常目標は100%達成しようよ。その上でタレント目標を一番大事な目標にしようじゃないか」

彼の顔が和らいできたようでした。

「ところで、タレント目標って何ですか?」

この根本的な問いに、私は次のように答えました――。

強い欲求と得意技は自分を裏切らない。

もちろん、タレント目標は、業務上の目標じゃないと意味がありません。

当社の業界でいうなら、たとえば、〇〇業界の求人の契約件数№1、〇〇地域の求人売上№1、広告コンテスト受賞数№1、〇〇商品の売上絶対額№1などです。

上には上がいると思ってしまう業界内の公式ランキングは、総合的、短期的な指標になりがちです。身近じゃない分、ランキングに顔を出せなければ、我関せずになりがちです。「1番を取るぞ!」というモチベーションを維持するのも大変です。

その点、自分の得意分野・やりたい分野を中心にすれば、目標は身近になり、1年という設定であれば、浮き沈みはあるものの、№1の高みを目指しながら、自分のモチベーションをコントロールしやすくなります。

別に大げさな目標にする必要はありません。

新人なら、小さな領域、狭い領域、単純領域で構わないのです。

・自分の身近な〇〇業界訪問件数№1というような目標で、
・少し背伸びすれば№1になれるイメージを持って、
・1年間やり切れるモチベーションを持てるもの。

そんなイメージです。

ただし、極力数字で比較できるものにすべきでしょう。

タレント目標を達成したら、公式の総合ランキングでも№1が取れる不思議。

1年後、相談を持ち掛けてきた中堅社員は、タレント目標を達成し、見事№1に輝くことができました。予測通り、お客様からの紹介が増え、〇〇商品の売り方を教えてほしいと、社内外の営業スタッフから、彼に声がかかってきました。

彼の顔には自信がみなぎっていました。

しばらくすると、同業の同クラスにおける総合ランキングの中で、彼は売上達成率1位をゲットしてしまったのです。彼にとっては、初めての経験でした。そして、同業が集まる表彰式の壇上で、スピーチをするまでになりました。

自分の得意分野・やりたい分野で実績を作れば、それが自信につながり、結果、上には上の人を追い抜くことにもなるのです。

起業前、サラリーマン時代に、実験してみるのも、ひとつの手。

次のように、タレント目標を達成すると、社員のステージが一段上がります。

・自分のやりたいことで、1年後に№1を獲得できれば、大きな自信になる。
・紹介が増え、人が集まってくる。
・自分をマネしようとする人たちが現れる。

まさにタレントですね。

あなたが起業した後に、社員採用をし、目標を持たせられる状態になったら、「タレント目標」を持たせてみてはどうでしょうか。

私の会社は、タレント目標を設定してから、2つの成果を手にしました。

ひとつは、社員の定着率がアップしたこと。
ひとつは、会社の業績が急速にアップしたことです。

あなたが今サラリーマンなら、タレント目標を設定し、ご自分で実験してみるのもひとつの手です。
あるいは、部下にタレント目標を設定し、部下の成長を見てみるのもひとつではないでしょうか。

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