趣味と祖母の教えがノーベル賞の道を拓いた、人間・大村智氏
2015年、ノーベル医学生理学賞を受賞した大村智・北里大学特別栄誉教授。
大村氏は、地中の微生物が作りだす化合物を発見。
それを、アフリカの熱帯感染症と戦う薬として実用化し、人類を救った功績を評価されての受賞でした。
その薬の名前は「イベルメクチン」です。
コロナウイルスの治療薬として、全世界から注目されている薬ですが、まだ認可されていないのが残念です。
ところで、この大村氏に、とても大きな人間味を感じた点が3点あります。
①当初、アフリカの10億人の人たちに、無償で薬を提供し、その後、毎年3億人の人たちに、継続的に薬を無償提供していること。そして、たくさんの人たちが、これによって命を救われました。
②ゴルフが趣味ということもあり(シングルプレイヤー)、静岡の伊東市の川奈カントリーの近くで採り出した土から、熱帯感染症の薬の素となった微生物を発見したこと。
③夜間の学校の先生をしていた大村氏が、なぜ研究者に変わったのか――大村氏の祖母が、自分の幼い頃から、「人のためになることをしなさい」と教えられ続け、分岐点を目の前にした時、選択基準が【人のためになることかどうか】だったこと。
「優秀なんかじゃない、やり続けてきたこと。ノーベル賞は微生物に」と語っていた大村氏の笑顔を思い出す人も多いことでしょう。
アフリカの人たちを救った大村氏が、今度は全世界で苦しんでいるコロナ難民を助けようとしています。
日本人として誇りに感じるとともに、そのあまりにも人間的な人柄に親しみを感じます。
世界の平和と生命への貢献。経済はその中で躍動すべきものではないか。
ふと、そう思いました。