「会社は社長の器以上に大きくはならない」
この言葉、よく耳にする言葉です。
自分自身を振り返っても、当てはまります。
バブルショックの当時、そんなものは自分の力できっと乗り越えられると、いきり立ったものです。30歳そこそこの若造社長の時代でした。気合一発です。
みなさんはいかがでしたか?
若い時は、自分には限界がないと思い込み、無茶な行動を取るものです。
うまくいく時もありますが、私の場合、このバブルショックをうまく乗り越えられず、倒産寸前まで、急降下していきました。
きっと、その経験があったからだと思いますが、リーマンショックは、何とか乗り越えることができました。
3分の1の社員を、自宅待機から戻すことができませんでしたから、決して有能な社長とは言えませんが、倒産をギリギリのところで回避することはできたのです。
「自分のものさし」だけでは、うまくいかないものだ
しかし、人間は歳を取っても懲りないものです。
50歳から3年間、幹部社員を後継者として育成しようとしましたが、うまくいきませんでした。
原因は、10年かけるべきところを、自分は3年で事業承継できると過信したからです。
年齢を重ねても、自分の限界値を知らずに暴走してしまう時はあるものです (60代の自分への自戒の念も込めて)。
自分の器を知らなければ、過信して会社を危機に陥れたり、事業承継がうまくいかなかったりします。あるいは過小評価をしてチャンスを逃したりするのです。
会社エグジットする時も、自分と会社の器をしっかり量り、限界を越えて無理をしてはいけません。
まずは、自分と会社の限界値を客観的に知る必要があります。
自分の限界に優しくなって、次の経営者に委ねよう
それでは、客観的に限界値を量るにはどうしたらいいでしょうか?
●自分の限界値の量り方
限界値を量るために、自分はなぜ事業承継しようとしているのかについて、マイナス面の本音を書き出してみることです。
・年齢的に限界
・健康不安があって限界
・事業意欲の減退による限界
・業績の悪化による限界
・身内(親族、従業員)の後継者不在による限界
理由は人によって、さまざまでしょう。
しかし、共通していることは、もはや第三者に事業承継しなければならないほど「限界」に近づいているのを認めることです。
そして、限界だからこそ、それを認めて、自分に優しくなってほしいのです。
●会社の限界値の量り方。
自分の限界値が本音で出てきたら、こう思うようにしましょう。
会社は子どものような存在だけれども、子供は自分のものではない。
いつか子離れをしなくてはいけない・・・実はそれが今だ。そう思うことです。
そう思うことができたら、子供である会社を、客観的に評価することができるはずです。相棒と一緒に会社の価値を算定したり、強みをもっと磨いて価値を高めたり、マイナス面を修正してリセットすることができるようになります。
ただし、子供である会社の限界値をそのままにしてはいけません。
子供を成長させるのは今の自分ではなく、次の社長だ・・・そう思うことができれば、第三者への会社エグジットに対する抵抗はなくなるのではないでしょうか。
そのような視点で探せば、会社の売却先が見えてくるはずです。
もう、無理をするのはやめましょう。
できる人や会社に、事業を承継しましょう。
その方が、自分が大事にしてきた会社が、もっと輝く存在になるのではないでしょうか。
そして、あなたの第2の幸せな人生に、思いを馳せましょう。
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