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あなたが、会社の価値を高めるための時間を設けることができるとします。
仮に、それを1年としましょう。
その中で、あなたは何をしますか?
エグジット前に会社の価値を上げることを、「会社の磨き上げ」と言います。
磨き上げることで、より良いエグジット(売却)先がスピーディに見つかると同時に、譲渡価格が高くなります。
それでは、会社の磨き上げはどう行ったらいいのか?
これを、攻めと守りの両面から見てみましょう。
「守りの会社の磨き上げ」とは
まずは、守りを3つの視点からお話しします。
それは、財務・法務・人事、3つの視点です。
◎財務面
・未払い残業代など、簿外債務がある。
・不適切な会計処理をしていた。
◎法務面
・規定や諸規則に不備がある。
・法令順守違反がある。
◎人事面
・残業が多く、不健康な社員が多い。
・離職率が高い。
以上のような不備は、会社のマイナス面ですね。
これを適正処理し、正常に機能させておく必要があります。
これが「守りの磨き上げ」です。
会社が正常に機能していないと、会社の強みに魅力があるにしても、欠陥のある会社として扱われ、ひいてはエグジットできない、時間がかかる、会社の強みと相殺されて低い価値になってしまうそんな状態になってしまう可能性があります。
守りとは言え、とても大事なことですので、エグジット先に指摘される前に磨き上げておきましょう。マイナスをゼロにするという考え方です。
「攻めの会社の磨き上げ」とは
☆顧客価値を上げる
顧客があって、売上が上がり、人件費などの経費を遣って利益を得る。
会社は顧客があって存在するものです。
一度、以下のように棚卸してみてください。
・あなたの会社の顧客数は?
・売上・利益ベスト10の顧客は?
・成長企業ですか?
・有名企業ですか?
・取引年数は?
成長企業や有名企業と長い取引をしていると、エグジット先に高い顧客価値を示すことができます。棚卸によって、今まで気づかなかった宝物に出会うことがあるのです。
もしなかなか見つからないのであれば、1年後にエグジットすると想定し、その間の顧客の磨き上げによって顧客価値を高めましょう。
何も、売上や利益を倍増させましょうと言っているわけではありません。
いちばん大事なことは、訪問回数を増やしたり、顧客の懐にもっと深く入り込んで今まで以上の信頼関係をつくることです。
「頼むなら君の会社」という関係性をしっかり築いておくということです。
そうすれば、その顧客は離れていかず、エグジット先がしっかり引き継ぐことができるというわけです。
今まで以上の関係性をつくれることをエグジット先に示すことができれば。あなたの会社の価値は高く評価されるのです。
☆人材価値を上げる
あなたの社員は、契約が成立したら、エグジット先の社員になります。特に同業であれば、今までのライバルだったわけですから、比較して見られることは間違いありません。
その時、「エグジット側の社員は優秀。一緒になれば、もっと会社は成長する」と思ってもらえれば、会社の価値は上がります。
私のように、会社エグジットの目的が「社員の成長のため」というなら、これはとても大事な磨き上げになります。
それでは、人材価値をどう磨いていくのか。
まず、3つのことにトライしてみましょう。
・一人当たりの売上や利益など、数字で比較できる指標をもとに、エグジット候補先の社員と比較してみます。その数字の中で、こちら側の社員の方が高い指標があるなら、それも人材価値になります。
・エグジット候補先にはいないタイプの社員が在籍していた場合、その社員に価値を感じてもらえたら、それも人材価値になります。
・社員の数は増えるわけですから、そこにスケールメリットを感じてもらえたら、それも人材価値になります。
もし比較して、大きな人材価値を感じてもらえないなら、高い評価につながらない可能性があります。
私なら二つの選択肢を設けます。
ひとつは候補先から外します。人材価値に自信を持っているなら当然でしょう。
うちの人材には価値がある。それを低く評価する会社とは握手しない・・・そういう意思で交渉すべきです。
ひとつは、その会社とのシナジー効果が見込めると判断したなら、1年かけて、磨ける指標を決めて人材価値を高めます。
その間にエグジット候補先との関係が切れたにしても、その時は次の候補を探せばいいのです。
☆会社エグジットは、社員が自分で生きる力をつける「きっかけ」になる
さて、人材の磨き方で、私が手がけた効果的な方法があります。
「タレント目標の設定」です。
社員一人ひとりが、自分の得意技で1年後に№1を取るという目標です。
できるだけ数字で比較可能な、社外も含めての№1目標にすること。この効果はテキメンでした。
№1を成した社員の全体業績は底上げされ、社内外から声をかけられるようになったのです。まさに「タレント」です。
ところで、私は、社員一人ひとりに、こんな話もしました。
・会社はいつどうなるか分からない。どこにいても、ぶら下がり社員にだけはなるなということ
・会社の寿命は人間の寿命より短い。自分の人生を主と考え、自活できるようにしておくこと
この2つです。
今回の会社エグジットのてん末を経験した社員たちが、その経験を踏まえ、明日会社がなくなっても生きていける力を身につけてくれれば・・・それがいちばんの願いです。
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