即戦力を採用するには大きな投資が必要。用意できますか?
「自分は〇〇の経験がありますから、御社にすぐにでも貢献できます」
そう売り込んでくる転職希望者がいます。
期待して採用しても、必ずと言っていいほど期待通りにはいかないようです。
なぜでしょうか?
そもそも、“すぐ貢献できる人”=即戦力の人材って、どんな人なのでしょうか。
例えば営業系の場合。
顧客を持って入社してくることではないでしょうか。
例えば技術系の場合。
すぐビジネスにつながる技術を持ってくることではないでしょうか。
もちろん、そういう人材はいます。
しかし、企業は厚待遇によって囲い込みをしており、仮にスカウトできるとしても、とても大きな投資が必要になります。
スカウトされるぐらいなら自分で起業するという人もいます。
そういう人材を、少ない投資額で即戦力の人材を採用しようとするのは、強い人間関係が成立していなければ、虫のいい話です。
振り返ってみると、私自身、即戦力採用に過大な期待を持った時期がありました。結果は失敗の連続でした。
最低限ほしい経験を基準値にしよう
経験者と言っても、全く同じ商品を扱うわけではなく、営業系であれば、お客様、営業方法を吸収する時間はある程度必要ですし、会社の理念、風土に触れ、自分の中で折り合いをつける時間も必要です。
経験者に対して「すぐ業績を上げてくれ」というミッションは、基本あり得ないのです。
私の場合、次のように対応するようにしました。
自社で絶対譲れない最低限の経験を基準に、基準以下は不採用、基準以上の人材の中から、人間性を加味して採用することにしました。
もちろん、ほしかった経験と基準になる経験との間にギャップは生じます。
しかし、そのギャップは、育成する時間を取って埋めればいい。そう考えました。
それ以降、大きなミスマッチで苦労することやストレスを抱えることは少なくなりました。
経験は、いったん棚に上げておこう
一方、この話は転職を希望する経験者にも当てはまることです。
むしろ、次のことを述べるために採用側の対場に立ってみたと言ってもいいほどです。
新しい会社の理念や風土に振れ、自分と折り合いをつける努力、業務を早期に吸収する努力、期待される経験と自分の経験の差から生じるギャップを埋める努力をしようと・・・。
つまり、素直で謙虚な姿勢で行動しようということです。
『経験を棚に上げることのできる人』と言ったらいいでしょうか。
経験者でもいったん新人に戻り、たとえ年下の社員に教えられても、謙虚に学ぶことです。
そういう人には、早い時期に、今までの経験が棚から背中に下りてきて戦力となり、リーダーに成長していくはずです。
くれぐれも、自分の経験を笠に着ないようにしましょう。
もし笠に着ることがあったら、学ぶ素直さや謙虚さを失い、未経験で入社した社員に1年と経たずに追い抜かれてしまう。そう思った方がいいです。
経験者は即戦力ではない。『速戦力』だ
転職者の場合は、新卒で入社したメンバーよりも速く戦力になることを求められます。
どのぐらい速いかは、その会社が求める期待速度に依るでしょう。
即戦力に限りなく近い速戦力を求められているのなら、たとえ年下の上司であっても、新人以上の気持ちで教えを仰ぐことです。
素直に、謙虚に、そしてスピードを意識して。
でも焦らずにね。