かつての保険業界の営業は、血縁・地縁が中心だった。
私の母は生前、生活費の補填をするため、秋田の故郷で日本生命保険の外交員をしていました。
そのおかげで、姉と私は不自由のない生活をさせてもらえ、大学にも進学することができました。
母が保険の外交員をすることになってから、夕食の後や休日に、よく父と連れ立って,ご近所の人たちに保険の勧誘をして回っていました。
専業主婦だった母が化粧をし、着飾って外出する姿を、私は少年ながら誇らしく思ったものです。
山深い里での保険の勧誘ですから、人口も少なく、ほとんどが顔見知りといってもいい地域でした。
必然的に、血縁、地縁による紹介営業が中心でした。
外交員の数も少なかったことから、父の協力もあり、母は当初から営業所のトップクラスの成績を収め、何度か表彰されたようです。
当時は、基本給が少なく、歩合や奨励金をテイクして高給を得るという給与システムでした。
そして、その制度は、今まで主流でした。
働く側と会社側のWIN-WIN関係とは、こういうことだ。
そんな中、今までの保険業界では考えられなかった、働く人間にとっては朗報の待遇システムを導入した会社があります。
明治安田生命です。
3つの改革が、以下になります。
①給与に、生活が成り立つ「固定給制」を導入したこと。
②生保初。保険営業員の奨励金を廃止すること。
③契約社員の7割を正社員にすること。
①と②は、給与システムを180度変えたことになります。
③は、バックヤードで事務職をしていた2600人の契約社員のうち、1900人を正社員にするという待遇の改善です。
仕事内容も、「事務サービス・コンシェルジュ」という職種名のもと、保険営業員に同行して、書類作成などの事務業務をスムースに行えるようにするものです。
遺産整理の助言や成年後見制度の紹介などもし、文字通り、事務全般のコンシェルジュを行う仕事に変わります。
この①②③は、保険業界の給与・待遇・働き方を変える、まさに保険業界の3つのニューノーマルといえます。
このニューノーマルによって、どんな効果が期待できるでしょうか?
働く側にとっては――。
・生活が安定し、働きやすくなる。
・顧客に直接喜ばれる仕事ができる分、やりがいを持って働ける。
・責任をもって、主体的な仕事ができる。
会社側にとっては――。
・人材採用の質量がアップする。
・顧客満足度が上がるので、リピーターが増える。
・今までのバックヤードの事務業務をAI化し、経費削減ができる。
とてもいいニューノーマルだと思いませんか?
「保険業界も働きやすくなったね」
母のつぶやきが聞こえてくるようです。