逆境の時は、ひとつの逃げ道と味方を作っておこう

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「好きなお酒はやめたくない」その気持ちを察した友人が・・・

起業して3年――バブル経済が弾け、会社が倒産する危機を抱えて悶々としていた時のことです。

好きなことはすべて、復活するまで捨てようと思い、実行に移す状態にありました。

もちろん、外食は極力控え、電車で行けるところは電車で、というように生活費と会社の経費を抑えることは基本中の基本ですから、それを実行することをベースにした上での経費削減でした。

ゴルフ、旅行、絶対必要と思われる以外の飲み会――これについては我慢できそうでした。幸い、ギャンブルの嗜好はなかったので、そこにお金をつかうことはありません。でも、好きなお酒を100%やめなければいけないと思うと、心が揺れました。

「どうしよう・・・」
何の気なしに、馴染みのスナックのオーナーに向かって、私はため息をついていました。

オーナーはしばらく押し黙り、思案顔をしていました。
「・・・飲めばいいじゃない。返済は1年後でいいよ」

オーナーは飲み代を1年間ツケにしてくれる約束をしてくれたのです。
その時、体内のエネルギーが一挙に復活するような感覚を覚えました。

私は経費節減をしながら、がむしゃらに働きました。
そして、夜はオーナーのスナックで好きなお酒を飲んでストレスを発散。
その好きなお酒がパワーの源になったのでしょう。おかげさまで業績が回復していき、利益も少しずつですが、出せるようになってきました。

仮にお酒もやめてストイックに仕事をしていたら、パワーが落ち、息切れし、ストレスに押しつぶされていたかもしれません。高金利の金融機関からお金を借りて借金まみれになっていたかもしれません。

「逃げ道は作るな」とよく言われるが・・・

人は強さも持っていますが、弱さも合せ持っています。
その弱さにフタをしてしまっては息切れしてしまいます。

弱さを受け入れて、それがパワーの源になるなら、逃げ道を作っておいてもいいのです。

ただ、独りよがりで勝手な逃げ道を作ってはいけません。本当に逃げてしまうことになるかもしれないからです。

大変な時こそ、家族や友人などの大切な存在に窮状を話し、ひとつの逃げ道に対して理解を求めておくことです。

逃げ道は逃げるために用意するものではなく、復活に向けてパワフルに動き回るためのカンフル剤のようなものだからです。

大切な存在は、自分の気持ちがゆるんだ時に注意を喚起してくれる存在です。
そういう存在に味方になってもらえると勇気が湧いてくるものです。

それに、相談せずにいると、水臭い!と距離を置かれるかもしれません。

私は運よく友人に恵まれました。
(その1年後にきちんとツケを解消したことを、この場でつけ加えさせて頂きます)

逆境に陥った時は、ひとつの逃げ道は残し、大切な存在に味方になってもらいましょう。