起業スタートダッシュで、ライバルを蹴散らすなら、〇〇を最優先せよ。

scales

「品質と納期、君ならどちらを優先する?」

サラリーマン時代、ある先輩に、私はそんな質問をされたことがありました。

もちろん、どちらも大事なことは分かり切った上での質問です。

「品質だと思います」

私はその時、そう答えていました。

「納期だよ」

と、先輩は私の答えを明確に否定しました。

 先輩の話す理由は、以下のようなものでした。

・品質に関する評価は顧客側が下すもの。こちらが満足するまで品質を追い求め、納期をないがしろにした場合、それはあくまで自己満足にすぎないため。

・納期が遅れれば、顧客に迷惑がかかり、信用を失墜してしまうため。

・仮に納期遅れを顧客が承諾した場合、顧客の品質に対する期待のバーが上がり、却下される可能性が高くなるため。ダメなら、信用は完全に失墜してしまうことになるため。

私は、先輩の話に、目からウロコが落ちました。

顧客の感動を呼ぶ、納期1日前の納品。

そして、その納期優先をさらに推し進め、約束の納期より1日前、モノによっては1週間前に納品することを心がけることにしました。

結果、どうなったか——。

・顧客側にもゆとりの時間が生まれ、話し合いながら、品質向上に顧客自身が参加するようになったこと。

・早目早目に一緒に作品を完成させていくような関係性ができ、こちらの提案が受け入れられやすくなったこと。

・信頼関係ができ、契約高が増えていったこと。

納期は何よりもいちばん大事なものです。
納期が設定されているということは、こちら側からの納期に合せ、顧客はその後の展開を考えているからです。
納期が遅れれば、その展開はストップしてしまいます。

逆に、納期の1日前、1週間前に納品できれば、仮にそれが未完成の状態であっても、顧客と話し合い、本来の納期までに完成させることができるのです。

そうすれば、従来の顧客満足度がグンとアップしていくことでしょう。

ある有名大手企業は「まず拙速ありき」

サラリーマン時代なら、ルーティンワークとして、納品日時に納めることで良かったでしょう。

でも、起業したばかりの会社の場合、同業他社より顧客評価が高くなくては、なかなか契約につなげることはできません。

「あの会社は創業したての小さな会社だけど、仕事が早くて助かる」

そんな声が聞こえてきたら、しめたものです。

また、納期が早ければ、修正や調整が可能ですね。

そういう意味でも、納期は前倒しにすべきです。

心配であれば、「こんな内容でいかがでしょうか?」と、ラフスケッチを提出する工程を、中に挟んでもいいかもしれませんね。

ある大企業は、「拙速」という言葉で、納期を早める運動を推進しています。
拙速とは、出来上がりを早めに設定し、スピードを優先しながら、品質向上を図っていくということです。

また、納期優先は、顧客とのコミュニケーションの数を増やすことでもあります。

顧客と共に歩むという姿勢が、顧客との信頼関係を強いものにしてくれるのです。

まずは、納期優先でいきましょう。

いずれは、「納期」「品質」両輪で。

起業からしばらくは、納期優先が顧客の信頼を勝ち取りやすいい方法です。

でも、当然ながら、商品・サービスに磨きをかけ、納期と品質がダブル評価を受けなければ、成長はありません。

スピード社会が加速する中で、品質向上の納期も加速させることを忘れないでくださいね。

——ぐずぐずしている間に、人生は一気に過ぎ去っていく。(ルキウス・アンナエウス・セネカ/ローマ帝国の政治家)