営業は1社に深く関わるか、数にこだわるか・・・それが問題だ。

start-up

起業後、早く利益を上げるにはどうすべきか?

「失敗しない起業の法則37」を読んでいたただいた方から、こんな質問がありました。

この場を借りて、お答えします。

「1社1社に深く入り込んで営業すべきか、契約件数にこだわるか。どちらが早く利益が上がるでしょうか?」

どんな商品・サービスを、どんな顧客に対して提供していくか、によって違ってきますが、ここでは、たとえどんな商品・サービスであっても、どんな顧客に対して提供したとしても、共通する答えを用意しました。

あなたの起業の一助になれば幸いです。

さて、二つの観点からお話します。

100円で5000個売るか、1万円で50個売るか?

☆一つ目は、単価と利益の観点から。

起業してそろそろ単月黒字を出したいと思っているあなたがいるとします。

50万円の売上があったら、少し黒字が出そうです。

あなたの提供する商品を単価100円とします。

いくら売ればいいでしょうか?

・500000円÷100円=5000個

月間の稼働日数を22日とします。

・5000個÷22日=228個

1日に228個売らなければいけません。

大変だと思いませんか?

・1日8時間として、2分に1個売らなければ達成できない数字です。

商品・サービスの知名度が上がり、効率のいい営業システムがなければ到底無理でしょう。営業スタッフをたくさん雇う手もありますが、人件費倒れになることは間違いありません。起業してから3カ月後、半年後の黒字ライン突入は、現実的ではありません。

それでは、単価1万円ならどうでしょうか?

・500000円÷10000円=50個
・50個÷22日=2~3個
・1日2~3個売ればいいことになります。

がんばればいけそうな数字ですね。

商品・サービスにもよりますが、仮に1万円が高額商品の部類に入るなら、顧客開拓がなかなかできないでしょう。まだ起業して間もない会社ですからね。

でも、1日2~3個売る方が現実的であることは間違いありません。

つまり、起業後しばらくは、どちらかというと、数より質、安価なものより高額な商品・サービスを扱った方が、経営を黒字ラインに乗せやすいということになります。

社長からの紹介は、一番の利益の源泉。

☆二つ目は顧客との付き合い方の観点から。

数当たるよりも、1社に深く入り込んだ方が、2つのメリットを享受することが可能です。

➀副次的な売上がついてくる。

前述の例のように、数当たって1社100円。深く入り込んだら10の部署がまとめ買いしてくれる可能性がありますね。

100円×10部署=1000円です。
20分に1個売ればいい、となります。

②他社を紹介してくれる。

1社に深く入り込んで、その活動が評価されたら、他社を紹介してくれます。

社長がダイレクトな顧客なら、社長の人脈を侮ってはいけません。

社長は同業、顧客、仕入先、ご近所、友人関係・・・幅広い人脈を持っています。
「がんばり屋の〇〇君を紹介するよ」
その一言が利益を引き寄せます。

つまり、1社に深く入り込んだ方が利益が上がりやすいということです。

もちろん、社長が営業対象であることが一番強力であることは分かりますね?

いかがですか?

・起業時には、高額商品を扱い、1社に深く入り込んだ方が利益体質を作りやすいということになるのです。
・最初は、1社1社に深く入り込みましょう、というのが、私の回答です。

「失敗しない起業の法則37」に書きましたが、起業する前から、見込み客はつくっておきましょうね。

利益ベスト3の顧客には、ハウスエージェンシーの動きを!!

30年経営をする中で、私の会社は7500社の顧客と取引をし、計5万人の人材採用のお手伝いをしてきました。

その顧客の中で、印象に残る1社をご紹介します。

その会社は、名古屋本社、全国的に知名度の高い飲食チェーン店です。
先方のS社長は、私より少し年齢が上で、私のメンターのひとりでもありました。

私の会社がバブル・ショックで痛手を負った時に知り合ったS社長。
起業してから3年目のことでした。

会社が立ち直っていく過程では、ずいぶんお世話になりました。

営業担当は、私から始まり、今でも面々と引き継がれています。

先方との関係は人材採用に留まらず、新店オープンの時には必ず部下と共に顔を出し、1年に1回の経営計画の発表会への出席を始め、会社のイベントには極力参加させていただくようにしていました。

また、定期的に店舗チェックを行い、改善点があればダイレクトにS社長に提案。

会社案内パンフレットを制作。東京、大阪への進出の際には、どちらにも出張所を構え、人材採用において、現地対応できるようにしました。

完全な形をとることはできませんでしたが、当社は人材採用のハウスエージェンシー的な役割を持たせていただいてきたわけです。

売上や利益ベスト3の顧客には、ハウスエージェンシー的な機能を持たせると、経営が安定します。

さて、S社長からはたくさんの学びがありましたが、その中から二つご紹介します。

顧客との長~いおつき合いは、血となり肉となり、ブランドになる。

☆ひとつの学びは、顧客からの苦情はウエルカムしなさいということ。

ともすれば、苦情の処理にマイナスの心情が加わってブレーキがかかり、対応が遅れたり、中途半端な謝罪で火に油を注いだりすることがあります。

その苦情が、会社を良くするための情報と捉えれば、即応体制が組め、苦情相手が逆にファンになってくれるというものです。

私は、この学びを参考に、ライバル会社のどこよりも速く苦情対応できる体制を社内に敷く努力をしました。

☆もうひとつの学びは、「ブランドを創れ」ということ。

私はある時、S社長にひとつの質問をしてみました。
「ここまで長く経営でき、成長を続けてくることができた理由は何ですか?」

S社長は、即座にこう答えました。
「ブランド商品があるからだよ」

そして、一呼吸置いた後、こうつけ加えてくれました。

「でも、そのブランドは磨き続けなくてはいけないし、それを凌ぐ次のブランドも開発していかなくてはいけない」

私は、この「ブランド」に対する考え方を自社に応用できないものか、ああでもない、こうでもないと考えてみました。

そこで行き着いたのが、ある業界の人材採用では、どのライバル会社よりも「採用確率の高い会社」と、評判を呼ぶことでした。

広告代理店としては、版元(メーカー)の商品を商社として取り扱いますので、独自の商品はありませんが、「この問題はあの会社が解決してくれる」という評判を呼ぶことができれば、メーカーではなくても、それが会社のブランドとして位置づけられます。

あなたが信頼関係を築いた顧客からは、どんな学びを得ましたか?

——売り手よし 買い手よし 世間よし。(近江商人)

☆顧客先の社長とのおつき合いの仕方はコチラ↓