仲間がいなければ、人は幸せになれないって本当?

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 私は30年間、企業と就・転職希望者の採用マッチングの仕事を生業としてきました。

そんな中、まずは、大手自動車メーカーの関連会社A社の人事担当者から聞いたお話をひとつ。

人事担当者は、工場内の人材採用の「あること」で悩んでいました。

あることとは――。

募集の段階で応募者が殺到する部署は、ラインで流れてくる自動車部品の一部を組み立てる部署。仕事は単純。きれいな環境の中で仕事ができます。仕事の割に給料がいい仕事です。

つまり、応募者は、カンタン、キレイ、おトクの3拍子揃ったところに魅力を感じたわけですね。

一方、募集の段階で一番不人気な部署は、高炉を扱う部署。高炉ですから、燃える火力によって、その場所はとても暑く、声を掛け合わないと事故を起こしかねない、とても危険な仕事です。給料はライン工と変わりません。

つまり、暑い、危険、低報酬の3拍子揃ったところに魅力を感じなかったわけですね。

・・・なんとなく、理解できますよね?

さて、問題はここからです。

ライン工は定着率が一番悪く、高炉技能工は定着率が一番いいのです。

応募の段階と真逆になってしまうのです。

採用担当者の悩みは、そこにありました。

原因は何だと思われますか?

――「仲間意識」です。

きつい仕事でも、仲間がやりがいのある仕事に変えてくれる。

ライン工の仕事は、声を掛け合うこともなく、ただ黙々と単純作業を繰り返すだけ。

ライン工は、長時間の孤独に耐えられなくなるのです。

一方、高炉技能工は、声を掛け合うことはもちろん、人間関係が良くないと自分もしくはチームに危険が及んでしまうのです。

高炉技能工は、仲間意識が強くないと、成り立たない仕事なのです。

人事担当者の話によると、高炉チームは、仕事帰りによくビールを飲んで楽しいひと時を過ごすそうです。

想像してみてください。

汗をダラダラ流し・・・仕事が終わって・・・ビールで乾杯!・・・ゴクゴク・・・プワーッ!・・・いかがですか?

否が応にも、仲間意識が芽生えますよね(^-^)

一方、ただ黙々と単純作業をしている場面を想像してみてください。

途中で投げ出したくなりませんか?

もちろん、そんなことをしてはいけませんから、我慢を強いられることになります。

それって、精神的によくないですね(-.-)

――仕事には仲間意識が必要ということです。

人事担当者に、私はこんな提案をしました。

高炉技能工の募集に関しては、危険で暑いことは表現した上で、仲間たちが和気あいあいとビールで乾杯しているシーンを一点写真にして、応募喚起する求人情報を打ち出しましょうと――。

ライン工の募集に関しては、求人情報を作る前にお願いしたことがあります。・休憩時間、昼食時間にライン工同士が会話できる環境を意図的に作ってほしいということ。・キャッチボールが手軽にできるなど、仲間と一緒に体を動かせる環境を意図的に作ってほしいということ。

あなたは決して孤独ではない。気さくな仲間と交流できますよ。その割に仕事はカンタンで給料もいいですよと・・・。

広告の出稿を重ねていくうちに、採用担当者の悩みは見事に消えていきました。