あなたが会社エグジット(第三者への売却)で交渉の場にいるとしましょう。
交渉する時に、やってはいけないNGルールは何だと思いますか?
どんな交渉をするか、事前にシミュレーションしておくことをお奨めします。
次にあげるポイントは、私の経験、会社エグジットした社長仲間たちの経験を通して得たものです。
シリーズでお届けしています。
参考にしてください。
◇交渉時のNGルール⑥/話に出るのは金ばかり
☆今の時代だからこそ「算盤」より「論語」が大事
大河ドラマ「青天を衝け」、もう残すところ2回となりました。
渋沢栄一氏を吉沢亮氏が熱演していますね。
かつて渋沢栄一氏が著した「論語と算盤」のように、現在の日本経済が倫理と利益が同居する世界に立ち帰ることができたらいいなと願います。
「経済」の語源は「経世済民」。
世を経(おさ)め、民の苦しみを済(すく)ことという意味です。
決してお金を儲けること、利益を上げることが目的ではありません。
世と民のためにお金を遣うこと。お金を儲けたり、利益を上げることはあくまでも手段なのです。
その手段が、ともすれば目的化しているのが今の世です。
渋沢氏は1万円札の肖像になります。
ぜひ「論語」の魂も刷り込んでもらいたいものです。
ところで、渋沢栄一氏は、「実業の父」「近代日本資本主義の祖」と呼ばれ、明治時代に500社以上の会社の設立や経営に関わってきました。
会社経営は、倫理に外れず社会のために行動するという「志」と、経済活動で利益を上げるという「お金」の両輪があって初めて成立するということを記した本です。つまり、道徳と利益は両立するという考えを世に浸透させたのが渋沢氏だったのです。
この考えを会社エグジットに当てはめてみると・・・理念にこだわる経営者と、数字にこだわる経営者が共に歩めば、互いの強みによる相乗効果によって、強い組織になれるということではないでしょうか。
☆社員・顧客より数字を優先する相手だったら、あなたはどうする?
私の場合、会社エグジット先の社長は、数字に強い社長でした。
一方、私は、数字よりも経営理念にこだわるタイプです。
もちろん、彼は数字にこだわるだけの人間ではありませんでした。
社員の成長があってこそ、会社が成長する。その考えが一致したからこそ、会社エグジットが成立したのですから。
単に、お互いの弱みを強みでカバーし合うだけでは、会社エグジットは成立しないということです。
社員や顧客よりも数字優先で経営をかじ取りしている社長がいます。
そういう経営の仕方もあるでしょうが、私は個人的にはその考えに合わせることはできませんでした。
なぜなら、会社を売却した後の社員や顧客の幸せが見えないからです。
社員が退職したり、顧客が離れていったりする予感を、どうしても感じてしまうからです。
買収金額を抑えようと何度も交渉してくる社長は、無形の「のれん」よりも、こちら側の価値をお金だけで判断しようとするものです。
自分が大切に育ててきた社員や顧客という大事な存在を、無碍にするような社長なら、お断りしましょう。
その社長から出てくる言葉の大半がお金に関することだったら、注意してください。
それはこちら側も同様です。
高い金額で成約するために、終始お金に関する話を持ちかけたら、相手も引いてしまうでしょう。
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