なぜ、相手は会社を買おうとする?売却側から見た5つの大きな理由

expansion

あなたの会社を買いたがっている人がいるとします。
当然、理由があるから買いたいのです。
・販路拡大
・業界内のシェア・アップ
・新規事業の短期成功。
・優秀な人材の確保。
・高い技術力の確保。
ここでは、その理由を以上の5つの柱をもとにお話します。

➀販路拡大に時間をかけすぎると、他社に追い抜かれる可能性有。

初めて起業した時の事を思い出してみると・・・。

・会社を設立するのは事務的なことですから、誰でもできます。
・でも、会社を設立して、自分がやろうとしている事業を軌道に乗せるのは、正直、大変です。

・やってみて初めて分かる大変さが、そこにはあります。

扱う商品は、当然、起業段階では決まっています。

その商品を広め、お金を回収し・・・これが、軌道に乗らなければ、どうしますか?

・毎日、経費は出ていきます。
・食事をしなければ、営業活動もできません。
・事務所代はいくらですか?
・家族のご飯は、奥さんや旦那さんのパート代ですか?

・・・こうして、軌道に乗るまでに会社を畳む人が、いかに多いことか。

だから、会社を買う人が増えているのです。

想像してみてください。

起業して、事業を軌道に乗せる苦労をしてきた社長なら、分かりますね。

・商品に自信はある。でも、販路が足りない。
・愛知県だけじゃなく、東海ブロック全体に広めたい。
・だったら、その販路を持った会社を買った方が確実。

こういうロジックになります。

それでは、会社を買うメリットは何でしょうか?

一から販売会社を立ち上げて拡販したとしましょう。

・事務所代、人件費・・・経費は全て、自分持ちです。

・販路を持った会社を買収した方が速く販路拡大ができます。

あなたの会社が、そういう要望にバッチリ応えられる会社だとしたら・・・相手はあなたの会社に周波を送るのではないでしょうか。

急がないと、その販路を他の会社がシェアしてしまう可能性があるからです。

相手の悩みを知ることです。
自分の会社が、その悩みに応えられるのであれば、会社売却の対象になります。

これを、シナジー効果と言います。

会社を売却する時に考えてほしいのが、売却先の要望に応えられる会社と言えるかどうか――それ以上でも、それ以下でもないです。

自分の会社の価値が相手の弱点を補強すると考えてみましょう。

それが売却の基本です。

②シェア・アップすれば、会社の体質が強くなる。

そのエリア内での売上額、取引社数を一挙に上がてシェア・アップする――これも、シナジー効果のひとつです。

私の会社の場合、社員の成長を、会社を売却するいちばん大きな目的にしましたが、事業継続上の短期目標は、このシェア・アップでした。

当然、売却先は、同エリアの同業社ということになります。

扱う商品は同種類のものです。

同業社同士は一緒になりやすいと思われがちです。

確かに、商品は同じ、スタッフの年齢も似たり寄ったりであれば、組みやすいのは確かですが、そんなに簡単にはいかないものです。。

・A社は、取引社数の多さを特徴としていて、B社は1社の単価の大きさを特徴としているとします。
・A社はたくさんの取引社数を持つ営業スタッフが評価され、B社は、コンサルタントのように、1社に深く入り込み、年間の売上高の大きい営業スタッフが評価されます。

この2社の融合は簡単にいくと思いますか?・・・なかなか大変なのです。

企業文化が全く異なるというケースが、往々にしてあります。

逆に、商品とエリアが同じなら、他社と違う強みを持とうとする力学が働くため、企業文化がぶつかり合うことが起こり得るからです。

むしろ、異質な商品を扱いながらも、企業文化が同質な会社同士の方が融合しやすいと言えるかもしれません。

同業で、企業文化は異なるが、融合できる方法とは何でしょうか?

・まず、社長同士の経営理念と事業の目的が類似していることが、融合する上での前提条件になります。
・「会社は、社員の成長ありき」とか、「売上シェアで地域№1」などがそれです。

その上で、統合に力を入れることが、一番いい方法です。

具体的には――。

・会社売却を決める期間内に、企業文化をどう融合するかの方法論と行動スケジュールを決めておきます。
・類似している理念を新しく共通ワード化しておきます。
・売却後、新しい理念に基づき、両社長が統合を推進していきます。

売却まで1年、統合に1年――。

シェア・アップに向けた2社の融合劇の、ひとつの青写真です。

私の会社の場合が、以上のケースでした。

結果として、会社の売却を理由に退職した社員はひとりも出ませんでした。
取引を中止した取引先は、1社もありませんでした。

(③④⑤は次に続く)