最初の行動!いちばん大事な人を味方にすること。
会社を売る決断をした時、あなたの中に、大きな不安がよぎりませんか?
まず真っ先にすることは何だろうかと・・・。
会社の売却は、大事業です。
もちろん、何度も売り買いで成長していく社長は別です。
でも、現在、平均年齢60歳の中小企業の社長にとっては、一生に一度の行為といってもいいでしょう。
考えてみてください。
その大事業を、ひとりで達成することは、到底無理というものです。
まずは、あなたにとって、いちばん大事な人に相談を持ち掛け、支援者になってもらいましょう。
会社を立ち上げたときのことを思い出してみてください。
決してひとりではできなかったはずです。
家族に相談したり、在職中なら、上司に相談したり、お金の工面で世話になった人もいますね。
基本、その時と一緒です。
ところが、軌道に乗ってしまうと、お世話になった人、お世話になったことを忘れてしまい、自分一人で苦労しながら会社を存続させてきたと、多くの社長は錯覚するものです。
そして、いざ会社を売ろうと決意すると、すべては自分の裁量でできるものだと、これもまた錯覚してしまうのです。
原点に戻りましょう。
あなたを大事に思い、陰ながら支えてきた大事な人は誰でしょう。
会社を売る時が、その人間関係に目を向け、おさらいするチャンスです。あなたの意志で会社を売ろうとした時、良くも悪くも、影響を受ける人はいませんか?
この機会だから、真剣に思い出しましょう。
きっと、その人は、相談を持ち掛ける相手です。
あなたを大事に思う人です。
会社を売っても、お付き合いが続く人です。
経営者の人間性は、会社を立ち上げる時より、売る時の方が如実に表れます。
もし、忘れかけていた人の大事さが再認識できたら、あなたの第2の人生をスタートさせるに当たり、引き続き、あなたの支援者になってくれることでしょう。
顧客を磨く!売却後も離れない関係強化の秘訣はコレ。
支援者が現れたら、次にすることは何だと思いますか?
売却先を探すこと、それももちろん大事ですが、同時並行で会社を磨くことです。
「磨く」というのはどういうことかと言いますと、会社の価値を上げることです。泥臭い言い方になりますが、会社の売却値段を上げることです。
その第一弾。
顧客の価値を上げることです。
顧客があって、売上が立ち、人件費などの経費を遣って、利益を得る。
実に単純な構造ですが、会社は顧客があってこそ存在するといっても過言ではありません。そして、会社を売却する時に、その顧客が光る価値を持ったステークホルダーになるのです。
・あなたの会社の顧客数はどのぐらいありますか?
・売上や利益ベスト10の顧客は、どんな顧客ですか?
・成長企業ですか?
・有名企業ですか?
・取引して何年経ちますか?
一度、棚卸してみてください。
有名企業、成長企業と長い取引をしていると、売却先に対して、高い顧客価値をPRできます。
そうすると、会社の「のれん代」(将来価値)は上がります。
会社の売却を今、考えたとしましょう。
目標として、1年後に売却すると想定します。
その1年の間に、ぜひ顧客の磨き込みをして、顧客価値を高めてください。
売上や利益を倍増させましょう、と言っているわけではありません。
もちろん、それに越したことはないのですが、一番大事なことは、訪問回数を増やしたり、顧客の懐にもっと入り込んだり、今まで以上に顧客との信頼関係を強化しましょう、ということです。
「頼むなら、君の会社」という関係性をしっかり築いておくということです。
そうすると、会社の売却について報告に伺ったとしても、売却先の会社がしっかり引き継ぐことが分かれば、顧客は離れていきません。
むしろ、売却先の企業価値が上がった分、今まで以上の関係を作れるメリットを感じてもらえるはずです。
いかがですか?
顧客の磨き込みをすれば、売却先の会社は、あなたの会社に対して、もっと価値を感じてくれるはずです。
人材を磨く!売却先の社員よりも価値を高めておく秘訣はコレ。
会社を磨く第2弾。
それは、人材価値を上げることです。
会社を売却すると、社員は売却先の社員となります。
同業であれば、同じ仕事をし、今までのライバルでもありますから、
売却先の社員と比較されるのは間違いありません。
その時に、
「売却側の社員は優秀だなあ。一緒になった理由が分かった」
と思われれば成功です。
社員も定着します。
私のように、「社員の成長のため」という目的なら、なおさら大事なことです。
でも、今まで伸び悩んでいた社員が1年で急に伸びることは、まずありません。
あくまでも、今までの、そして日頃からの人材価値が問われるのです。
それでは、売却候補の会社に、人材価値の高さをどうPRするか――。
3つあります。
①同業ならば、一人当たりの売上高や利益など、数字で比較できます。
その数字の中で、売却先よりも高い指標があれば、人材価値の高さをPRできます。
②売却先にはいないタイプの社員が多数在籍。
その社員の存在が、売却先にプラスの価値をもたらすことが予測できれば、高い評価を得ることができます。
③社員数が増えるわけですから、そのスケール自体が大きな利益を生む場合、掛け値なしで、人材価値は高く評価されます。
この3点を有しながら、相手に評価されないようであれば、一緒になっても社員がかわいそうです。
うちの人材には価値がある――まずは、そのことを、目に見える形でPRすること。そして、それを受け入れない会社とは握手しない・・・そういう意思で交渉すべきです。
ところで、私の場合、社員一人一人に対して、こんな話もしました。
・会社はいつどうなるか分からない。ぶら下がり社員に成り下がっちゃいけないこと。
・会社の寿命より、人間の寿命の方が長い。
人生の主人公は自分であることを自覚すること。
・自分自身が、自分の人生の経営者。自活できるようになること。
そして、その内容を盛り込んだ本、「40歳で『人生の経営者』になろう。」という私の著書を、一人ひとりにプレゼントしました。
(合併後は、売却先の社員にもプレゼント)
「人」は、人、モノ、金、情報、時間の経営資源の中で、トップに来ます。
人材価値に普段から磨きをかけ、その価値をPRできるようにしておきましょう。
以上、会社売却の成功の秘訣は、いちばん大事な支援者、顧客、社員という3種類の【利害関係者】(ステークホルダー)を大事にすることなのです。
☆会社は売った後も大事。詳しくはコチラから↓