後継者がいない60代以上の中小企業の社長100人に聞いてみました。
「会社を第三者に売りますか?」
意外かもしれませんが、YESも少数、NOも少数でした。
「どちらともいえない」が多数派でした。
・しばらくはまだ自分が社長を続けていける・・・先延ばし派
・そのうち後継者をつくろうと思うが、まだ分からない・・・希望的観測派
・このままだと廃業した方がいいかもしれない・・・あきらめ悲観派
代表的な理由は上記のような内容でした。
今のところ、第三者に売る気にはなれないというのが本音のようです。
中には、こんな人たちも結構いました。
・社長はスカウトすればいい
確かに、社長スカウトも、事業承継のひとつの方法です。
私も、会社エグジットの際、第三者に会社を売却すると同時に、取引先の社員を社長としてスカウトしました。
「自分の権限も報酬もそのまま」と考えていませんか?
ここで、いくつか質問です。
①あなたに、スカウトする対象者がいない場合、最初は次のどちらを選びますか?
a.人脈をたどったり、マッチングサイトを使って出会いを作る。
b.会社売買のアドバイザーや仲介者に頼む。
②スカウト対象者のポジションはどうしますか?
a.社長としてのポジションを最初に確保する。
b.部長や取締役から段階的に代表を目指してもらう。
③年俸はいくらで打診しますか?
a.自分の年俸より高く。
b.自分の年俸より低く。
④何年、社長をやってもらう契約を結びますか?
a.3年。
b.1年。
社長の人徳や人間関係の強さにもよりますから、誰にでも当てはまる100%の答えはありません。
ただひとつ言えることは、相手に本気を伝え、相手が心を動かすのは言うまでもなく、
①~④ともaということです。
私の場合は、①と④はaでしたが、当初、②と③はbでした。
最終的には、すべてaにすることで、スカウトに成功したのです。
社長候補にイエスマンは要らない
いかがですか?
社長をスカウトするためには、思い切った手を打つ必要があるのです。
・社長である自分よりも報酬を高めにすること
・権限を自分よりも強くすること
この2つを行う覚悟はありますか?
強い権限と高い報酬をそのままに、自分の下にイエスマンの社長を置くというスカウトをお考えなら、うまくいくものもうまくいきません。
それで相手が承諾しても、入社後にあなたが違うと判断したらお払い箱になってしまいますから、イエスマンにならざるを得ません。
イエスマンは上の指示に従う存在ですから、次の社長としては不適格です。
スカウトされる方も、そういう危険を察知して承諾しない可能性の方が高いでしょう。
お金と権限を手放してスカウトするぐらいじゃないと、事業承継はうまくいかないと持った方がいいでしょう。
スカウトするにしても、その人に会社を売却するぐらいの発想で臨んでください。
それが会社を事業承継するあなたのためであり、スカウトされる社長候補のためでもあります。
あなたは愛する会社を存続させ、重荷を下ろして次の人生に向かうわけですから、第三者に事業埋却する「会社エグジット」とほぼ同じです。
大丈夫です。相手にもよりますが、権限も高い報酬もバトンタッチできれば、心の中のもやが晴れて、清々しい気持ちになって明日に向かって歩き出せますから。
◇自著「愛の会社エグジット 売り手も買い手も幸せになる事業売却」↓
愛の会社エグジット | 吉田学 |本 | 通販 | Amazon