「焦らず、柔軟に」会社エグジット(売却)の交渉、2つの鉄則

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あなたが会社エグジット(第三者への売却)で交渉の場にいるとしましょう。
交渉する時に、やってはいけないNGルールは何だと思いますか?

どんな交渉をするか、事前にシミュレーションしておくことをお奨めします。

次にあげるポイントは、私の経験、会社エグジットした社長仲間たちの経験を通して得たものです。

シリーズでお届けしています。
参考にしてください。

◇交渉時のNGルール/岩のように譲歩しない

自社の価値はこれ!と、自信をもって相手に伝える・・このこと自体に基本、問題はありません。基本というのは、客観的に見てもリーズナブルであれば、ということです。

ただ、リーズナブルにも幅があります。

現在の資産価値に将来利益やのれん代をどう乗せるかを考えた時、それは形に見えるものではなく、時間が経たないと確定しない利益ですから、どうしても幅が発生してしまいます。

私は、最初に提示した金額の中には、将来利益を5か月分乗せました。

それが果たして妥当かどうかは、売り手と買い手の握手、つまり合意で決めるしかありません。3か月かもしれませんし、7か月かもしれません。

自社の価値はこれ!と明確に提示するのもいいのですが、交渉の幅は持たせておきたいものです。現在の資産価値には譲れない部分がありますが、将来利益や「のれん代」をどう金額換算し、どのぐらいの幅を設けておくかが、交渉を有利に進める方法です。

(「のれん代」は、企業のブランドや技術力、社員の能力など、非金銭的な無形資産を金額に換算したものであり、いわば将来の資産価値です)

まったく譲歩しないのでは、せっかくの縁を逃してしまいます。

交渉に臨む前に「小さな譲歩」の幅を、あらかじめ用意しておきましょう。

◇交渉時のNGルール/なぜか焦る

結論を急ぐ人は、はたから見ると、「訳あり」と思われます。

もしあなたが結論を急ぐとすれば、それはどのような理由によるものでしょうか?

・早く今の状況を抜け出したい
・早く第2の人生を歩みたい
・相手からいい条件提示があったから、早く決めたい

これは、前向きな焦りですね。

一方、こんな理由はありませんか?

A.病気がちなので、早く決着をつけたい
B.業績が悪化しつつあるため、今のうちに決めたい
C.簿外債務があるので、早く売却したい

これは、隠し事をして交渉を焦る場合ですね。

 気をつけたいのは、「隠し事」を持ちながら交渉することです。

A.の場合は、状況を説明し、むしろ交渉を速めてもらった方が得策です。
相手がほしいのは、最終的にあなたの会社です。
あなたが健康な状態の時に、統合までの手続きを終えておきたいと思うはずです。

B.とC.の場合は、後でモメる可能性が大です。
買収後に顧客が離れていけば、価値が棄損されます。
簿外債務が発覚したら、買収側がツケを払うことになります。

もちろん、「逆も真なり」です。相手に焦りを感じた時は、要注意です。

会社エグジットは、全員が次に幸せな人生を歩むためのスタートラインです。
隠し事のために焦るのはナンセンスです。

前述した「前向きな焦り」にも注意しましょう。
相手の懸念を誘い、うまくいく交渉も×になる可能性があります。

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