3.11、10年にして思うこと。「復旧は終えても、復興は道半ば」

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10年前の3月11日のその時、私は名古屋の熱田神宮内の池のそばに佇んでいました。

リーマンショックから抜け出せず、会社の業績も自分の健康もまだ持ち直していない頃で、1日に1回は熱田神宮に参拝に行っている状態でした。

(東海大地震がきた!)

そう思いました。
それほど揺れがひどかったのです。

「東北方面で地震がありました」

館内放送が流れました。

第二の故郷は東海ですが、私の生まれ故郷は東北。
いずれにしても、他人ごとではありませんでした。

名古屋でのあの揺れどころではない、とてつもない揺れを経験している東北の方々を思うと、たまらない気持ちになりました。

それは、私の中で、リーマンショックの鎖から解放された瞬間でもありました。

(小さなことで悩んでいる場合ではない。早く会社を回復させて、社員と一緒に被災地に行こう)

・・・半年後、私は社員と一緒に、名古屋の姉妹都市である陸前高田に伺いました。

快晴の中、海は静まり返っていましたが、街はがれきに埋もれ、建物は鉄骨もあらわになっていました。
この正反対のコントラストが、東日本大震災の惨状を際立たせていました。

夢遊病者のように、涙を流すに任せて歩き回る社員もいました。それほど、ショッキングな光景だったのです。

「この状態を知ってもらうだけでいい」
「してもらいたいことがあるとすれば、地元の名産品を買ってくれること」

地元の方から、そんな言葉をいただきました。

あれから10年。
復興はまだまだ道半ば・・・それが地元の方々の思いでしょう。

それをベースに、今思うこと。
それは、「復旧」と「復興」は違うということ。

復旧は、電気・ガスなどのライフラインをもとに戻すこと。
これは時間が解決してくれます。

でも、復興は違います。
勢いのある状態まで戻すという意味ですから、そこには人の勢いが介在します。
人による街の賑わい・文化の振興・良好な経済状態が必要です。

地元の人だけではなく、その観光資源や食文化に、世界や日本全国の人を引き寄せる勢いが必要です。

日本は地震国です。
どこで、どんな地震があるか分かりません。

一人ひとりが、当事者としてこれからも東北の復興に関わる・・・そんな気持ちを新たにしました。