社長の決済金額が大きくなる理由。キーワードは「投資」

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先方担当者から営業スタッフへの値引き要求のなぜ?

「担当者と話をしていると、もっと安くならないの?って、いつも聞かれるんです。どう対応したらいいでしょうか」
営業スタッフのほぼ100%近くが、新人時代に、こんな悩みを打ち明けてきます。

私はこう答えるようにしています。
「仕方ないよ。担当者は担当者なのだから」

そのこころは・・・。

私たちの求人広告業界で言うと、「求人広告への掲載費はもっと安くならないの?」ということになります。

担当者とは、人事の採用担当者や、店舗の店長クラスを指します。

こう考えてみると明快です。
担当者は、いかに安く商品やサービスを購入(仕入)し、最大の効果を上げるかを上司から求められているのだと。

この、上司から与えられている予算が『経費』なのです。
これに対する言葉が『投資』です。

2つの違いを次に示してみます。

担当者の持っている予算は、1年間の『経費』

経費――1年の事業活動の中でつかわれる費用。損益計算書の中に計上し、売上総利益から差し引かれ、営業利益が計上されます。1年間の中で利益を得るために、しばしば「経費を削減しよう」ということになります

投資――後々(たとえば3年後に)利益を生むためにつかわれる費用。貸借対照表の中の資産の部の投資に計上され、数年の中で経費として組み込んでいくものです。

短ければ短いほどいいですが、3年、5年で利益を得るための費用を指します。
両者は似ていますが、非なるものです。

経費は、1年の中で効果をもたらさなければいけませんから、費用は小さく、となりがちです。対して投資は、複数年の中での経費になりますから、費用は大きくなります。

こう考えていくと、担当者が経費を節減しようとすることは、至極当たり前のことなのです。

社長が持っている予算は、3年後のための『投資』

「だから、トップコールした方がいいよ」
私は営業スタッフに、そうアドバイスします。

社長は、3年後、5年後の会社の成長を考える唯一の存在です。
仮に、考えることを自分以外のブレーンに指示したとしても、『決断する』唯一の存在は、やっぱり社長です。

「3カ年計画では、うちの会社は3年後こうなっている。だから、今こういう人材を採用しておきたいんだ」
この社長の言葉を置き換えれば、「投資したい」となります。

一方、1年間の中での決められた経費枠をもらっている担当者は、その中で費用を算段しないといけません。

「ひとり欠員が生じたので、採用したい。(経費枠がほとんどないので)安くできない?」
この( )に入る言葉を把握しないと、ものごとは進みません。

ベテランの営業スタッフでも、冒頭のような悩みを打ち明けてくる場合があります。トップコールしましょう。

会計上の募集費は、経費枠から投資枠へ

教育研修費は貸借対照表に投資として計上するケースがありますが、一般に、人材の募集費は、1年間の損益計算書の中に計上します。

これからの日本の経済成長を念頭に置いた場合、中長期的に人材採用をとらえ、適材適所に人材配置をするためには、募集費を投資枠に変えるべきではないか。
そう思います。