バブル・ショックの後のリーマン・ショックの頃のお話です。
私の会社は、バブル・ショックの時に引き続き、再度傾きかけました。その時、私が打った3つの手をご紹介します。
3つの約束を果たせず、3分の1の社員が退職
ひとつは、社員の3分の1に、自宅待機してもらったこと。
正直、その人選には苦しみが伴いました。
そして、その一人ひとりとじっくり面談したところ、
「なぜ私なのですか?」
涙を浮かべながら、訴えてきた社員もいました。
・4カ月の期限付きの自宅待機であること。
・事業が上向いてきたら戻ってきてほしいこと。
・満額とはいかないが、給料はしっかり支払うこと。
私は3つの約束をしました。
でも、業績が上向かなければ戻せない。
それだけは含んでおいてほしいとお願いしました。
結局、業績は上向かず、一人も戻すことはできませんでした。
私は自責の念でいっぱいでした。
経営者は、なんと罪深い存在なのかと・・・。
そして、一人ひとりに退職勧奨をしたところ、ほとんどの社員は笑顔で応えてくれました。あの笑顔は、今でも忘れていません。
(みんな、ごめんね)
救いになったのは、その後、退職した社員が元気にがんばっていることを確認できたことでした。
在籍社員の手当をカット。当然、社長の報酬は・・・
ひとつは、在籍社員の手当てを4カ月間凍結し、報奨金の歩率を下げたこと。
その時、社員は決していい思いはしていないはずなのに、笑顔で応えてくれました。私の方がむしろ励まされたぐらいです。
(みんな、有り難う)
もちろん、経営者である自分は4カ月間、報酬を凍結しました。
それがあったからこそ、きっと社員はついてきてくれたのでしょう。
経営者として、当たり前といえば当たり前の判断です。
会社は、社員あってこその公器です。
私欲に駆られたら、社員はついてきてくれません。
社員がいなければ、一人で事業を行うしかありません。
そうなった時は「時すでに遅し」です。
社員を大事にできなければ、仕入先も、取引先も離れていくものです。
会社はその時点で機能しなくなります。
会社が傾きそうになった時、真っ先に削るのは社長の報酬であることを忘れたくはないものです。経営者は、体を張れるか張れないかです。