キャリア採用の極意。「即戦力」に期待せず「速戦力」に先行投資せよ

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即戦力がほしいなら、会社をM&Aした方がいい

30年間の人材採用の仕事のなかで、よくこんな言葉を聞きました。

「即戦力がほしい(・・・そうすれば、利益が早く出る)」(企業側)
「即戦力として採用してほしい(・・・だから給与を高くしてほしい)」(応募者側)

それに対し、私はその都度、こう答えることにしていました。
「いえいえ、とんでもないです。即戦力の人材はほとんどいません」

たとえば、営業経験10年の転職希望者を採用したとします。

・過去に扱った商材とは違います
・仮に同じだとしても、営業方法が違ったり、顧客構成、販売エリアが違ったりします

商品・サービスを覚え、顧客構成・営業方法を覚えには時間がかかります。
企業側は、その時間を織り込んで採用する必要があります。
つまり、多少でも育成期間と教育投資が必要になるのです。

応募者側も同じです。

前の会社から顧客や継ぐ使える技術を持ってこない限り、業績を上げるまでには時間がかかります。

「即戦力」は、入社と同時に「即使える人材」なのです。
その人の技術、その人の開拓した取引先が今すぐほしいということです。

即戦力採用を実施するいちばんいい方法は何だと思いますか?
それは、会社をM&A(買収、合併)することです。

人材採用は投資。転職者はキャリアを棚上げすればうまくいく

私の持論は、『今までのキャリアは棚に上げておけ』です。

キャリアのある人間は、新人以上に新人のマインドをもって、新しい企業文化を早く吸収し、「さあいけるぞ!」という時に、棚上げしていたキャリアを背中に降ろすのです。

(年齢が上にいけばいくほど、残念ながらできる人は少なくなりますが・・・)

そのキャリアを棚上げしている間に、実力を発揮するためのスキルを身につけると同時に、人間関係をしっかり構築しておくのです。

企業側は、ある程度の期間と投資を覚悟し、応募者側は、まずゼロベースになる勇気を持つべきです。

この両者の構え方で、人間関係が良好になれば、企業は利益が増え、採用された人は、過去のキャリアを生かし、戦力になっていくのです。

人材採用は「投資」です。
人件費と営業利益の損益分岐点をいかに速く越えられるか、が大事です。

「即戦力」採用でうまくいったケースはほとんどありません。
自社採用にしてもそうでした。

「即戦力」ではなく、「速戦力」です。

戦力になるまでの期間をいかに短くするか、企業と転職希望者は謙虚な気持ちで対応することを望みます。

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