浮き沈みを経験した「社長仲間」をつくろう
社長は孤独な存在と言われます。
弱気になって、ついつい社員にその弱さを見せてしまえば、社員は不安に思いますから、揺るぎない自分を演出しようとして孤独を感じるものです。
しかし、吐き出す場がなければ、ストレスがたまって、経営の打ち手を間違えてしまったり、心身の病気を誘発しかねません。
それではどうするか?
私も含め多くの経営者が、気の知れた利害関係のない社長仲間と会ってストレスを発散させるケースが多いようです。
社員に元気な姿を見せると社員は安心しますが、心にわだかまりがあると、「本当かな?」と疑いの目を持たれてしまいます。
それを避けるためにも、外でストレスを発散させることになります。
その点、社長仲間に話を聞いてもらうことは大きな特効薬になります。
社長であるならば、同じような浮き沈みを経験しているものです。
共感してくれる存在は、心のガス抜きにはうってつけだからです。
また、ストレスのはけ口に留まらず、社長仲間の経験を耳にすると、それが行き詰まった状態の突破口になったり、応用できるアドバイスだったりします。
私は、何度も、社長仲間とのやり取りよって復活してきました。
大変有り難い存在なのです。
一時的に孤独になることはあっても、そういう存在のおかげで、孤独感でがんじがらめになることはありませんでした。
もし孤独から抜け出せない社長がいるならば、信頼できる社長仲間がそばにいないからではないでしょうか。
同業同士や異業種交流、コミュニティを通じて、信頼できる社長仲間をつくりましょう。
視界が変わり、心のもやもやが晴れていくはずです。
時に自分の弱さと本音を見せることが、社員との距離を縮める
ところで、社長は社員と距離を置いたままでいいのでしょうか?
いいはずはありません。
それでは、どのようにして距離を縮めたらいいでしょうか?
それは、時として社長である自分のもろさを社員に見せることです。
前向きな話が前提であれば、仕事上や会社の悩みを打ち明けてもいいでしょう。
それが本音なら、社員は一緒に悩んでくれようとします。
弱音を吐いたって、前を向いているのであれば、信頼できる社員は一緒に動こうとしてくれるものです。
リーマンショックの時のことです。
会社の業績がどんどん落ち込んでいきました。
その結果、3分の1の社員を自宅待機させる事態に陥り、結局は戻すことができませんでした。
私は会議の席で弱音を吐いてしまったのです。
①この先の業績がはっきり読めない状態であること
②どうしたらいいか一人ひとりから意見がほしいこと
③みんなのことが好きであること
この③に関して、まさか自分の口から出てくるなんて思ってもいませんでした。
ずっと経営をしてきて初めて口にした言葉だったからです。
それだけ心が呻いていたのでしょう。
社員からはいろいろな意見が出てきました。
「社長、大丈夫ですよ」と励ましてくれた社員もいました。
このことがきっかけとなり、おかげさまで業績は徐々に回復していきました。
社員との距離を縮めるには、ダメな部分を見せ、協力してほしいとお願いすることもひとつの在り方です。
そうすれば、社員との関係で孤独を感じることはなくなっていくものです。
必要と感じたら、社員に弱みと本音を見せる機会をつくってみましょう。
もちろん、前提は「一緒に前を向くこと」です。
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