あなたは転職した人間を「出戻り社員」として再雇用できますか?

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会社を去った社員は裏切り者?

“会社を去った社員は裏切り者”――かつて、そう発言する経営者はたくさんいました。

転職が当たり前になってきた現在、表立って発言する経営者は少なくなりましたが、心から会社を去った社員を応援する経営者はまだ少ないのではないでしょうか。

「時間とお金をかけて教育投資したのに」
「辛抱が足らない」
「将来を期待していたのに」

そんな本音が聞こえてきそうです。

私も、起業してしばらくは、正直そんな思いを抱えていました。
3年ほどは、平均3カ月にひとり退職するような会社でした。
その大きな責任は経営者である自分にあったことは後で気づくことになるのですが・・・。

ある時に、私はこう思うようになりました。
去っていく社員に、去る原因を100%押しつけていないかと・・・。

社員採用の仕事を主業務としていたこともあり、お客様である企業の経営者のグチを聞きながら、それを客観視する機会がたくさんあったことも、そういう思いに至った理由のひとつでした。

(社長に原因のほとんどがあるんじゃないですか?)

そう思うシーンはたくさんありました。
パワハラ、低待遇、長時間労働、コミュニケーション不足――今は社会的に問題視されるワードが日常化していた社内環境。それに手を打たない経営者。

そんな中で、自分を絶対視し、去る社員を裏切り者扱いする経営者は良くない。
少なくとも私自身はそうなりたくない――そう思うようになったのです。

その後、すべてうまくいったわけではありませんが、去っていく社員には、謙虚にその理由を聞き、激励するようにしてきました。

そして、その理由の中に、社内環境を良くする改善につながるところがあれば、取り入れるようにしてきました。

第三者への会社売却も常識になる。変化する者だけが生き残れる

関係性の悪さで去った人間は別として、今でも気軽に話せるもと社員は結構います。独立した人間、海外に転職した人間、やりたかった人事部門に転職した人間・・・。

周りからは、もと社員と会うのは「あり得ない」とか「経営者として甘い」とか言われることもありましたが、今となっては、そう言ってくる経営者の方を不思議に思います。

いいじゃないですか。在籍中は会社に利益貢献してくれ、今は自分のやりたいことをやっているわけですから。

自分に甘いところがあるとすれば、もと社員の夢をかなえる場所を会社の中に作って上げることができなかったこと。

採用を考えている企業の経営者には、「直接あなたに原因があります」とは言いませんが、「社員の定着と採用の決定率を高めるために、会社の課題をピックアップして、改善しましょう」と提言するようにしてきました。

今、「出戻り社員」を再雇用する会社が増えてきています。

自社の業務を把握していると同時に、異なる世界で経験し、磨いてきたキャリアがこれからの会社の成長に役立つ。そう判断する経営者が増えてきたからです。

ネット社会が進化し、大企業が小さなスタートアップ企業と提携を希望する時代です。

転職したら二度と関係がなくなるという考えは捨てましょう。

あなたの会社にもし後継者がいないのなら、第三者に会社エグジット(売却)するのもひとつの選択肢です。昨年のM&Aの数は4280社で過去最高ですから、時の流れです。

社員に旅をさせ再雇用する。会社を第三者に事業承継する。

価値観が大きく変化しているこの時代、ニューノーマルな会社とはどうあるべきか、一拍置いて、自分の会社に当てはめて考えてみるのもひとつではないでしょうか。

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