『ニュータイプの時代』(山口周著:ダイヤモンド社発行)という本があります。
新時代を生き抜く24の思考・行動様式を記した本です。
従順で、論理的で、勤勉で、責任感の強い「優秀な人材」をオールドタイプとし、今後急速に価値を失っていくゾーンの人たちとしています。
20世紀の後半から21世紀初頭にかけて評価された人たちです。
一方、自由で、直感的で、わがままで、好奇心の強い人材をニュータイプとし、今後大きな価値を生み、評価される、豊かな人生を送ることになる人たちです。
そして、オールドタイプは奪って独占する人、ニュータイプはシェアしてギブする人と規定しています。
(中世から産業革命までの1000年以上の歴史は、シェアしてギブする人が主流だったそうです。共有・シェアする土地をコモンズと呼んだそうです。古くは、ニュータイプの考え方が主流だったんですね)
これを、事業承継に当てはめてみます。
現役をキープし、会社をなかなか手放さないオールドタイプの社長は、会社の価値をジリ貧にさせていきます。
年齢を重ねていくと、時代の潮流を見る目が衰え、変化を嫌うものです。
今までの経験が役に立たない「経験の無価値化」を、オールドタイプは認められない。新しい経験への失敗の恐れとストレスから、リセットが難しいのです。
ニュータイプなら、状況が変化した場合、意見を言うオピニオンになるか、現状から逃げるかのどちらかを選びます。あどちらかの行動を起こし、変化に対応して生きていけるのです。
時代は変化しています。
コロナ禍によって、業績が悪化した会社は数多いです。
働き方改革のひとつ、テレワークによって、会社は通勤する場所とは必ずしも言えない「ニューノーマル(新常態)」の存在になりました。
事業承継も、変化を受け入れる時代が来たのです。
それでは、その変化を自分の中に取り入れるためには、どうしたらいいでしょうか?
ニュータイプと交流して、新しい価値を発見し、これからの生き方をアップデートすることです。
事業承継する相手の多くは、ニュータイプであることを忘れないでください。
ニュータイプの生き方に聞く耳を立てましょう。ニュータイプとの間に信頼関係をつくることができれば、事業承継は現実化していくでしょう。
会社をなかなか手放せないオールドタイプは、ニュータイプの価値観を注入し、「ハーフタイプ」になってみましょう。
そうすると、後継者のいない中小企業の社長にとって、事業承継の最適な方法が、実は会社を第三者に売却することという選択肢があることに気づくでしょう。