「会社エグジット」の主役はあなた。専門家には「相棒」になってもらおう

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会社エグジットとは、後継者のいない中小企業の社長が、会社を第三者に売却することによって、自分の次の人生、そして家族・社員・取引先などの利害関係者の幸せを創造し、大廃業時代が来るといわれている日本経済を救う愛ある行為のこと。

社長であるあなたは「鳥の目」、相棒は「虫の目」

「相棒」というドラマ、見たことありますか?
2000年からテレビ朝日・東映の制作で放送されている刑事ドラマシリーズです。

主人公は、水谷豊氏演じる杉下右京警部。
捜査の天才でありながら、警視庁の陸の孤島「特命係」に追いやられている右京のもとに、警視庁が送り込んだ人物が相棒です。

「妙ですねえ・・・」「おや?」「私としたことが」「最後に、もうひとつだけ」の名台詞にあるように、杉下右京は細部にわたって気になることを追求しようとします。

それを、島流しにあった立場の相棒がアシストしていくのですが、この20年余りの番組の中で4人の相棒が入れ替わりで登場しています。

相棒それぞれのタイプと得意分野は異なりますが、右京にとってはそのいずれもが必要不可欠な存在です。

それでは会社エグジットの主役は誰でしょうか?

それは、中小企業の社長であるあなたです。

・会社エグジットするべきかどうか
・会社の売却先はどこにするか
・いくらで売却するか

大雑把に言うと、この3つを「決断」するのは、社長であるあなたにしかできません。

とするならば、全体の仕切りをする主人公はあなた、一方であなたができない専門分野に関してはプロに依頼する設定にし、プロを相棒にして動いた方が現実的です。

全体を見渡す鳥の目を持つあなた、細部にこだわる魚の目を持つプロを組み合わせることを考えてみてはいかがでしょうか。

2種類のプロと、うまくタッグを組もう

さて、プロとは誰のことを言うのでしょうか。

ここで、2種類のプロについて説明させていただきます。

◇税理士・弁護士・社会保険労務士など、会社の顧問及び顧問の人脈

私の会社は税理士・社会保険労務士と顧問契約を結んでいました。

税理士には、月々のP/L、B/Sの作成、税務処理などをお願いし、社会保険労務士には、社会保険の手続き、労務相談、人事制度の設計などをお願いしていました。

税理士とは月1回、作成書類を見ながら翌月の経営について議論してきました。
社会保険労務士とは、人事制度の設計や労務トラブルについて一緒に対応してきました。

私にとっては、両者とも相棒だったのです。
(弁護士の場合は、顧問の社労士から紹介をいただいた方に、必要がある際に相談していました)

そして、私の会社エグジットの相棒は、顧問税理士でした。

ただし、気をつけてほしいことが2つあります。

・顧問税理士は会社の懐具合をいちばん知っていて頼もしいのですが、会社エグジットそのものを生業にしている税理士は少ない状態です。

・会社エグジットするということは、顧問契約が消滅する=仕事を失うことになりますから、エグジットすること自体に抵抗する税理士も多くいることを覚えておいてください。

◇会社のM&A(買収)・会社エグジット(売却)の専門家

この分野では、大きく分けて2種類の方式のプロがいます。

アドバイザー方式・・・売る側、買う側どちらかの立場に立って会社エグジットやM&Aを成立させる方法です。売る側のアドバイザーであれば、売る側から報酬を受け取ります。弁護士との契約に代表される方式です。(民法108条では、同一の法律行為についは、双方の代理人になることは禁止されています)

仲介方式・・・売る側と買う側双方の間に立って、売買を成立させる方式です。この場合、両者から報酬を受け取ります。不動産契約に代表される方式です。(民法108条の限定事項として、売る側、買う側があらかじめ許諾した行為については認めています)

プロと会社エグジットを進める際の留意点はひとつ。

すべての会社エグジット業務をM&Aアドバイザーや仲介業者に丸投げすることだけは避けてください。

成約金額によって報酬のパーセンテージが変わるレーマン式という報酬体系のケースが多く、着手金や月々の顧問料が発生する場合もありますから、結構大きな金額が動きます。

それを覚悟の上だとしても、鳥の目を持つのはあくまでも社長であるあなたであることは忘れないでください。

最後に決断するのは自分です。積極的にプロを相棒として、自分にできない部分をお願いし、波長の合う相棒を選択してください。そして、陣頭指揮を執りましょう。

私の場合は、顧問税理士との相棒関係だけで会社エグジットできましたので、M&Aや会社エグジットの専門家と組むことはありませんでした。

相棒は、成功というゴールに向かう良きパートナー

さて、会社エグジットの流れの中で、大きなポイントが5つあります。

・会社の価値を金額にするといくらになるか
・さらに価値を上げるにはどうすればいいか
・マッチングする会社はどこか
・いくらで相手に交渉するか
・契約後はどうするか

この中で、プロを必要とするのは、あなたにとってどのポイントでしょうか?

なぜプロが必要か、ここで整理してみましょう。

基本的には次の2つです。

・専門的なことや資格が必要なことは自分にできない
・手続きや資料の作成など、煩雑なことに時間を取られたくない

私の場合は、まずは自分でマッチングする会社を見つけ、顧問税理士を相棒として、一緒に会社査定・相手との交渉を行い、契約後のことは売却先と共に考え、実行しました。専門的なことや手続き・資料作成は、顧問税理士および顧問税理士の人脈を活用させてもらいました。

誤解を恐れずにいえば、プロは「先生」ではなく、現実的な「便利屋」と見立てておつき合いしましょうということです。

査定は税理士、契約書の作成は弁護士、売却先探しはアドバイザーというような連合体をつくる手もあります。

「おや?」「もうひとつだけ」――。会社エグジットの成功というゴールに向けて、良き相棒とパートナーシップを組みましょう。

そうすることで、エグジットまでの納期が早まり、支払う報酬が適正になり、何よりも社長であるあなたの手腕で物事が進んでいくことになります。

ただし、全体に渡ってプロを相棒にしたいという場合、すべてのプロセスにおいて業務遂行経験のあるアドバイザー、仲介を相棒にした方がいいでしょう。その場合も、主役はあなたであることをお忘れなく。

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