熱田神宮で感じた地震。「会社を復活させて社員と東北に行こう」
11年前の3月11日のその時、私は名古屋の熱田神宮の中にある池のそばに佇んでいました。
リーマンショックからなかなか抜け出せず、会社の業績も自分の体調もまだ持ち直していない頃で、熱田神宮への参拝を日課にしている状態でした。
(東海大地震がきた!)
その時、私はそう思いました。
それほど揺れがひどかったのです。
「東北方面で地震がありました」
館内放送が流れました。
第二の故郷は東海ですが、私の生まれ故郷は東北。
いずれにしても、他人ごとではありませんでした。
名古屋でも強い揺れを感じたくらいですから、とてつもない揺れが東北を襲ったのだと思うに至り、私は思わず立ち上がっていました。
たまらない恐怖が押し寄せてきました。
どのくらいボーッと立ちすくんでいたでしょうか。
(自分と同じ東北人、ひとりでも多く助かってほしい)
ふと我に返った時、私は両手を合わせ、祈っていました。
そして、いま会社の業績で悩んでいる自分がちっぽけな存在に思えてきました。
(いま小さなことで悩んでいる場合ではない。早く会社を回復させて、社員と一緒に被災地に行こう)
それは、私の中で、リーマンショックの鎖から解放された瞬間でもありました。
人を幸せにする「復興」は、日本全体の大きな課題
半年後、私は社員と一緒に、名古屋の姉妹都市である陸前高田に向かいました。
快晴の中、海は静まり返っていましたが、街はがれきに埋もれ、建物は鉄骨もあらわになっていました。
その正反対のコントラストが、東日本大震災の惨状を際立たせていました。
夢遊病者のように、涙を流すに任せて歩き回る社員がいました。
それほど、ショッキングな光景だったのです。
「この状態を知ってもらうだけでいい」
「してもらいたいことがあるとすれば、地元の名産品を買ってもらうこと」
地元の方から、そんな言葉をいただきました。
あれから11年。
復興はまだまだ道半ば・・・それが地元の方々の思いでしょう。
「復旧」と「復興」は違います。
復旧は「元通りにすること」。
たとえば電気・ガスなどのライフラインをもとに戻すこと。
これは時間が解決してくれます。
でも、復興は違います。
復興は「再び盛んにすること」。
求められるのは「人の幸せ」です。
街の賑わい・文化の振興・良好な経済状態、それらによる人々の幸せな生活が必要です。地元の人だけではなく、その観光資源や食文化に、世界や日本全国の人たちを引き寄せる勢いも必要です。
日本は地震国です。
どこで、いつ、どんな地震があるか分かりません。
一人ひとりが、当事者としてこれからも東北の復興に関わる・・・そんな気持ちを新たにした次第です。
合掌