大型顧客を他社に引き抜かれた。あなたならどうする?
私が会社経営をしていた頃、ベテラン社員のひとりが、当社の重要な顧客を、他社に引き抜かれてしまったことがありました。
きっと悔しかったのでしょう。
顔が硬直し、しばらく笑顔を見せることはありませんでした。
私も、彼を叱りました。
社長である私が開拓し、長きに渡り取引を続けてきた顧客。
歴代のベテラン社員が担当し、その中で彼に引き継がれた顧客でしたから。
「必ず復活させるんだ。そのためには通い続けなさい。そうすれば、1年以内に必ず復活するはずだ」
私は、そうアドバイスしました。
「すいません。でも、もし復活しなかったらどうしたらいいんでしょう」
彼は不安がっていました。
私もサラリーマン時代、仕事がうまくいかなかった時、ある人にこう言われことがありました。
「あなたの本気は人を動かすよ」
その言葉に勇気をもらって、私は復活しました。
「失敗を意識しちゃいけない。
相手を思い、本気で行動すること。それしかない」
私は笑顔が消えたベテラン社員にアドバイスしました。
「もうひとつ。これは君が自信を取り戻すための会社の“投資”。君から見たら最大のチャンスだよ」
という言葉を添えて。
「復活契約」には、新規契約の10倍のパワーがかかる
彼は、私の思った以上の動きを取り、汗を流してくれました。
その本気は伝わってきました。
半年後、彼は、一度は取引停止になった顧客から「復活契約」をいただくことに成功しました。
彼の顔には、今までにないほどの満足げな笑顔を浮かべていました。
すっかり自信を取り戻したのですね。
「おめでとう。良くやったね」
そう声をかけた後で、私は彼と今回の行動の振り返ってみました。
・復活契約は、新規契約の10倍パワーがかかる
・新規契約を結ぶと目標達成した気になり、その後のフォローを忘れがちになる
・10倍のパワーをかけるのは時間のムダ。日頃から定期フォローを怠らない
「フォロー営業スタイル」から「サブスク(コツコツ型)営業」へ
これからの時代は、顧客から定期収入を得る「サブスクリプション」というビジネスモデルが主流になると考えられます。
その方が会社の業績が安定するからです。
コロナ禍によって、この動きが加速しています。
そうすると、今までの、購入顧客のフォローによって追加契約を結ぶという「フォロー営業スタイル」から、常に既存顧客に関わるという「サブスク営業スタイル」に変わっていくでしょう。
サブスク営業とは、コツコツ積み上げていく営業、顧客のかゆいところに手の届くコンシェルジェ的な営業です。
そう言う意味では、フォロー営業スタイルを取っている企業は「フォロー営業」を強化しておくべきでしょう。
一方、営業スタッフにとっては、フォロー営業は当たり前という営業スタイルを体得しておけば、時代の流れに乗っていくことができるでしょう。
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