事業承継の一番大きな財産が「先代の感情コントロール法」って何?

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親の会社を継ぐことになった、40歳の青年の一言「今しかない」

Sという40歳の男性と飲み友達になりました。
私との年の差は20歳ほど。

礼儀正しく、相手の話をしっかり聞いて、自分の意見をしっかり伝えることのできる人間です。

私の話で参考になることは、メモしそうな勢いで耳を傾けてくれます。

(こんな人間が起業したらいいのになあ)

そう思っていたところ、なんと、彼は親の会社を継ぐことになったそうなのです。

今まではサラリーマン。
手がけてきた仕事は、親の仕事とは異なっています。

なぜ事業承継することになったのか、理由を聞いてみました。

ひと言で言うと、経営者である父親と本人である息子のニーズが一致したようです・・・それは、【今しかない】というニーズです。

今のサラリーマン生活をこのまま過ごしていていいのだろうかと、Sは悩んでいた時期だったようです。父親の方も、そろそろ事業承継する時期と思っていたようです。

「今しかない」タイミングが一致したのです。

事業承継でつまずくのは、圧倒的に人間関係によるもの。

好青年のSに応援したい気持ちから、

「困ったことがあったら、相談に乗るよ」

と、私は言っていました。

早速、Sからこんな相談がありました。

「父から何を学べばいいだろう?」

私は、今までたくさんの親子の事業承継を見てきました。

失敗する共通の原因は3つあります。

・子供が親と違うことをやろうとすること。
・親が子供になかなか権限を与えないこと。
・親側と子供側の社員に派閥が生まれること。

つまり、失敗の原因のほとんどが、親子及び社員の人間関係によるものなのです。

それを踏まえ、私はSに、以下のようにアドバイスしました。

・親及びベテラン社員が本人を受け入れるまでは、言われたことを実行すること。
・新しいことを実行する場合、親もしくは影響力のあるベテラン社員を味方にしておくこと。
・とはいえ、新しいことを手がける場合、多くの資金がかからず、短期間でできるものから始めること。実験して結果を見るというスタンスで。

経営者の感情と、そのコントロール法。
学ぶと、会社は長く続いていく。

以上を踏まえ、「父から何を学ぶか」に関して、Sに次のようにアドバイスしました。

かつて、会社にミスや失敗、顧客からのクレームがあった時に、
・父である社長がどんな気持ちになり
・どんな対応をし
・何を学んだか
その3つを聞くことを奨めました。

そのなかでも、最初の「どんな気持ちになり」がいちばん大事であると・・・。

「どんな対応をし」「何を学んだか」は、ノウハウとして、すぐに応用が利きます。それは、立場がサラリーマンでも同じことです。
サラリーマンと社長の違いは、最終責任を取るか取らないかの違いだけです。

でも、「父である社長がどんな気持ち」というのは、経営者ならではの心の動き、社長としての独自の感情なのです。

しかも、経営者はなかなか感情を口にしません。

なぜだと思いますか?
・・・それは、社員をはじめとするステークホルダーに悪影響を与えてしまうことがあるからです。

父である社長が、息子から質問されたら嬉しいものです。
事業承継する後継者が息子なわけですから、なおさらでしょう。

「相手を殴りたくなるほどの気持ちになった」
「こっちからお客に三行半を突きつけたくなった」

最初はお互い遠慮があったり、照れて言葉が続かなかったりするでしょう。
父と息子は、そんな関係ですよね。
でも、毎日顔を合せていく中で、しかも、仕事を受け継いでいく中で、周りには言えない親子ならではの会話は成立するものです。

そして、その抱いた感情をどうコントロールしたかを学ぶのです。

相手を殴らず、悪感情をどう処理したか、
顧客に三行半突きつけ、取引をなくす前にどう対応したか、

そんな経営者の感情の対処法を学ぶことが、経営を長く続けていく上で、とても大きな財産になるのです。

父から息子への事業承継は、極めて感情的なプレゼントだ。

「親から完全に事業承継できたら、親が経験した感情のコントロール法が、Sのいちばん大きな財産になっているよ、きっと。親と同じ気持ちを経験するって、何よりも心強いからね」

私は、その言葉で、Sへのアドバイスを締めました。

Sはにっこり頷き、乾杯を求めてきました。

乾杯!!

(これからが楽しみだね、S)

Sから聞いたところによると、親が会社を創業したのは40年前とのこと。
Sが生まれた時とほぼ同時期ということになる。

☆一方、親から子への事業承継が少なくなっている現状は、事業承継のコチラのブログから↓