起業とフリーランス、接点はどこ?
これから起業しようと考えているあなたに、個人事業主を含む「フリーランス」の現状についてお話します。
株式会社のような法人格として起業するのか、個人事業主として起業するのか、個人事業主以外のフリーランスで働き、その後起業するのがいいのか、参考材料になれば幸いです。
ところで、「起業」とは、文字通り「新しく事業を起こすこと」を指します。
それでは、フリーランスとは何でしょうか?
「フリーランス」とは、会社に所属せず、個人で仕事を請け負う働き方のことを指します。
契約ごとに仕事を請け負い、その対価として報酬を得ることになります。
契約内容からすると、会社との雇用契約を結び、「給与」を得るのが社員、会社との業務請負契約を結び、「報酬」を得るのがフリーランスということになりますが、後述するように、会社との雇用契約を結びながらフリーランスをしている人もたくさんいるのです。
この1年で2,4倍!全就業者の2割がフリーランス。
ちなみに、日本の企業数は382万社ですが、その中に含まれる個人事業主は198万人。実に過半数が個人事業主なのです。
それでは、フリーランスはどれぐらい存在すると思いますか?
何と、1671万人です。
全労働力人口の2割を占める大きな勢力になっているのです。
なぜ、個人事業主に比べて8倍以上の多さになっているのでしょうか?
その根拠を、以下に示します。
<フリーランスの内訳>
➀自由業者・・・859万人。会社と雇用契約を結ばず、業務請負契約で仕事をしている人。ここに、個人事業主が含まれます。
②副業者・・・439万人。1社のみと雇用契約にあり、他社の仕事も業務委託として請け負う人。
③複業者・・・373万人。複数企業と雇用関係を結ぶ人。
➀の数は前年比2,4倍、②の数は4,5%増、③の数は29,5%増となっています。
全体にフリーランスの数が一挙に増えていることが分かりますが、その中でも➀の自由業者が圧倒的に増加しているのです。
外を歩いていると、背中に荷物を背負って自転車で行き来する人たちをたくさん見受けますね。
これは、コロナ禍によって失業した人や、報酬を増やすために転職を考えた人たちが、ウーバーイーツをはじめとする「ギグワーク」に就くケースが、ここ1年で一挙に増えたからです。
ギグワークとは、収入を増やす手段として、ちょっとしたスキマ時間を使って複数の仕事をこなしていく働き方です。
問題点としては、ギグワーカーに対する企業のニーズはどんどん増えている一方、その仕事に就くフリーランスが一挙に増えた分、相対的に一人当たりの仕事量が減り、その分報酬も減ってきていることです。
今、各社がテレビCMでしのぎを削っているのは、顧客数を増やそうとしているからです。
副業者、複業者が増えている理由とは?
さて、②の副業者、③の複業者が増えてきている理由はご存じですか?
・テレワークによってスキマ時間が増え、企業側も副業を承認するところが増えてきたため、副業ができるようになってきた。
・会社の業績ダウンによって減った給与を補填するため、副業を行うようになってきた。
・遠隔地であってもネット上で仕事が可能になり、副業、複業が可能になってきた。
・変革を迫られている中小企業や地方企業が、外部の力を必要とするようになってきた。
結果、自由業者までの増え方ではないにしても、如実に増えてきているのです。
日本も、明らかに自立志向になってきている。
さて、原点に戻ります。
あなたは、株式会社のような法人格として起業するのか、個人事業主として起業するのか、個人事業主以外のフリーランスで働き、その後起業するのがいいのか、どうお考えですか?
私の場合は、30歳になった時、無謀にも、後先考えずに法人格として起業してしまいました。その影響もあり、バブル・ショックで会社を倒産寸前にまで追い込んでしまいました。
今はコロナ禍の中にあります。
私の起業時時とはずいぶん変わり、選択肢が増えてきました。
アメリカのフリーランス人口は5900万人。
アメリカの全就業者の4割を占めています。
そこまではいかないにしても、日本でもフリーランスは大きな社会的な存在になってきていることも事実です。
ただし、自由業者は雇用保証もなく、まだまだ弱い存在です。
そこに含まれる個人事業主もしかりです。
法人格の企業は、業績不振や後継者問題で悩んでいます。
でも、前向きにとらえてみましょう。
フリーランスが増えてきたということは、理由はそれぞれでしょうが、自立して生きていこうとする人たちが増えてきているということです。
コロナ禍が落ち着いてきたら、起業する人はきっと増えていくことでしょう。
そんな中、今あなたが起業したいと考えているなら、3つのことに自問自答してもらえたらな、と思っています。
・その事業は社会のため、自分が続ける価値のあることなのか。
・人、モノ、金、情報、時間という経営資源を用意しているか。
・起業したあと、いつその事業から引退するのか、引退後はその事業を誰に継承するのか。
もし不安があるなら、一度私の書いた本を読んで頂けたら幸いです。
そこにヒントがあるかもしれません。
自著【失敗しない起業の法則37】↓