7月20日は「中小企業の日」
「中小企業・小規模事業者の存在意義や魅力等に関する正しい理解を広く醸成する機会を国民運動として提供していくため、定められた期間において、官民で集中的に中小企業・小規模事業者に関連するイベント等を開催する取組です」
中小企業庁の「中小企業の日とは」には、そう書かれています。
日本の99,7%の企業が中小企業・小規模事業者ですから、「国民運動」とは言い得て妙です。
7月中に、各省庁や関係団体の協力に下、各地域でシンポジウムやセミナー、商工祭などを開催するようですが、何かしっくりこないものがあります。
確かに、圧倒的多数の勢力が自らの存在をアピールすることは大事なことです。
でも、対立の構図、この場合は大企業VS中小企業・小規模事業者から始めるのではなく、もっと融合して考えるべきではないかと。
「女性の活躍」もそうです。
本来は、男と女が融合して考えることを忘れてはいけません。
企業も同じです。
大企業と中小企業がパートナーシップを取ればうまくいく!?
いい事例があります。
愛知県にある「豊田合成」は、部品や原材料を仕入れている約200社の中小企業と取引をしています。
その、各社の経営者が抱える悩みを聞き、解決をサポートするという取り組みが注目されているのです。
名づけて、「経営困りごと相談室」。
経験豊富な豊田合成の幹部が相談員になり、仕入先の経営者と本音で語り合う場です。
「直接の取引の話は持ち込まない」が唯一のルールで、相談事は自由。
社員のマネジメント、公平な給与制度の確立、SDGsの取り組み方についてなど、取引先にはなかなか聞けないこと聞いてくれる場なのです。
豊田合成の他の部署とも連携できるようになっています。
たとえば、「新規事業をPRしたい」のなら、広報室が記者を紹介したり、脱炭素の取り国に関しては環境部が省エネ事例を紹介したり、人事・給与制度については人事部が勉強会を開催してくれたり、というように・・・。
国は2020年に、大企業と中小取引先との対等な関係構築を目指す「パートナーシップ構築宣言」の制度を導入しました。
そういう意味でも、豊田合成の動きは推奨されるものであり、中部経済産業局の幹部も視察にきているようです。
これは、大手企業の豊田合成にとってもメリットになります。
仕入先の経営がうまくいき、信頼関係が深まれば、自社の成長にダイレクトにつながっていくからです。
もちろん、仕入先の社長にとっては、前向きな経営改善ができるわけですから、大きなメリットがあります。
参加している取引先の若手社長からは、こんな意見が出ています。
「いまさら聞けないような悩みを吐き出せる場をずっと探していた」
これぞ、中小企業の喜びの声ではないでしょうか。
大企業と中小企業・小規模事業者が対等な関係構築を目指すことができれば、中小企業・小規模事業者の存在感はもっと強いものになっていくはずです。
「中小企業の日」の中に、「企業規模の枠を越えた日本企業の日」の要素を織り交ぜたらどうか――そう思いました。
廃業すれば、利害関係者に迷惑をかけてしまう!?
ところで、中小企業・小規模事業者の3分の2に後継者がいません。
・いちばん大事な人に相談を持ちかけたくても、経営者としてのプライドもあり、なかなか悩みを吐き出す場をつくることができません。
・経営者として、持ちかけられた相談には乗ってきたのに、自分から相談することには慣れていないという面もあります。
・年を重ねて頑固になった面もあります。
「まだまだ自分は現役だ」と・・・。
肉親、社員、同業のライバル社、仕入先、顧客、社長仲間、――後継者がいなくて、結果廃業してしまったら、利害関係者に迷惑をかけてしまいます。
次の人生に暗雲が漂う可能性があります。
後継者不在で事業承継に悩んでいる経営者は、後悔のないように、いちばん大事な人に、事業承継について相談することをお奨めします。
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