「敬老の日」を廃止し、「年齢フリー」に。
昨年の発売であるにもかかわらず、1年も経たずにベストセラーになったビジネス本があります。
『還暦からの底力 歴史・人・旅に学ぶ生き方』(講談社現代新書)、
著者は、現在、立命館アジア太平洋大学(APU)の学長で、かつてライフネット生命保険株式会社を設立した出口治明氏です。
読むと、60代以上の人は、俄然勇気が湧いてきます。
私が特に共感したところは、第1章の3つの文章。
見出しで言うと、
・「敬老の日」を廃止せよ。
・「年齢フリー」の世の中に。
・定年を即刻廃止し、健康寿命を延ばす。
の3項目です。
ところで、私個人としては、前々から止めてほしい言葉がありました。
それは、「老人」という言葉です。
よくよく調べてみると、この言葉は、どうやら「定年」という言葉と連結しているようです。
定年とは、サラリーマンが一つの会社で働き続け、「お疲れ様」と言われながら退職する定年退職のことを指しますが、もっと広い意味で捉えると、「もう働かなくていい。ゆっくり余生を楽しんで!」となります。
その余生を楽しむ人を「老人」と呼んでいるのです。
定年は、私が小学校の頃(1960年代)は55歳でした。
その頃の平均寿命、知っていますか?
出口氏が本書でも紹介しているように、1965年の日本人の平均寿命は60代だったのです。
定年から考えると、余生は約10年です。
今はどうでしょうか?
定年が60歳から65歳に移行し、さらに国は70歳まで延ばそうとしています。
今の平均寿命は80代・・・ということは、余生は20年ということになりますね。
余生20年! それって、もはや「余生」とは言えませんね。
人生100年時代、「定年」も「老人」という言葉も既にガラパゴス。どう考えても、ナンセンスな言葉としか言いようがありません。62歳の私はそう思います。
当然、出口氏が書かれているように「敬老の日」は必要なく、「年齢フリー」でいいのです。
これからは、4000万人のパワー集団が若者を支える時代に。
ところで、60代以上の日本人は、全体の中でどれ位いると思いますか?
3分の1、ざっくり4000万人です。
しかも、圧倒的な富を保有している世代です。
変な話、この世代にたくさんの消費をしてもらわないと、日本経済は立ち直らないでしょう。
「老人」なんて言ったら、“老人”は消費してくれず、タンス預金になってしまいますよ!
別に、怒って、わがままを言っているわけではありません。
実を言っているのです。
事実が変わったら、言葉や基準を変えるのが本来の歴史の流れなのに・・・怒るというより、ちょっと寂しいのかもしれません。この感情は私だけではないでしょう。
かつて、たくさんの若者が「老人」ひとりを支えるのが年金制度でした。
でも、これからはひとりの若者がひとりの「老人」を支える時代になってきています。これって、現実的でしょうか?
むしろ、逆じゃありませんか?
“老人”ひとりが、若者を複数支える時代になってきているのではないでしょうか?
以上から、もう“老人”という言葉は廃止しましょう。
若者が頼りにし、敬う存在として扱いましょう。
そういう「敬◎の日」は、我々は歓迎かもしれませんね。
かなりの私見が入ってしまいましたが、出口氏の『還暦からの底力』、一読の価値ありです。
表紙の帯の文章を最後にご紹介します。
「人生100年時代をパワフルに行動するための出口流初の人生指南!人生の楽しみは喜怒哀楽の総量で決まる!