2025年に「大廃業時代」が来るとしたら、あなたはどうしますか?

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雇用のミスマッチ。転職するなら国の制度を利用しない手はない

今、人材不足で、経験や知識がないと就けない業界って、どこだと思いますか?

IT業界と医療・介護業界です。

リーマンショックの時は、雇用維持が大変だった製造業の雇用の受け皿をサービス業が行っていましたから、経験がなくても転職はし易かった時代でした。

もちろん、サービス業にとっても接客技術や経験は必要でしたが、未経験の人材を入社後の育成によって対応できるようにしたのです。

ところが今回のコロナ禍では、旅行・宿泊・飲食業などのサービス業が真っ先に影響を受けました。そして、いざ人材を求めている業界に転職しようとしても、経験や知識の壁が立ちはだかり、なかなか転職できないという、雇用と人材のミスマッチが問題化したのです。

入社後の育成で戦力にするには、資格取得や長期教育が必要だからです。

その最たる業界がITと医療・介護の業界でした。

さて、このミスマッチの雇用問題に、国はどう対応するのでしょうか?

国は、ITや医療・介護業界の雇用を拡大するため、「30万人支援」の制度を打ち出しました。

・求職者支援制度で5万人
・公共職業訓練で15万人
・教育訓練給付制度で10万人

計30万人です。

果たしてこの打ち手が雇用のミスマッチをどれぐらい解消できるのか判然とはしませんが、転職を考えている人にとっては朗報です。利用しない手はありません。

2019年度に、国が「AIデータサイエンス」の受講を推進してから11万人の人たちが利用しています。もちろん、最大7割の公的補助がある制度ですから、人気を呼んだということもありますが、ビッグデータを解析する人材がこれからはどの企業でも必要になることを見越しての動きなのでしょう。

私の周りにも、ここ最近「データサイエンティスト」の資格を取った人間が複数います。

制度が充分かどうかの議論は置いておきましょう。
雇用側にとっても、働く側にとっても、ここ最近の雇用制度は充実しています。

世の中がニューノーマルに変わる今だからこそ、あなたにとって該当する制度なら利用してみてもいいのではないでしょうか。

「200万人」台という数字には「社会問題」が潜んでいる

ところで、「雇用保蔵者」という言葉、ご存知ですか?

社内で失業状態の従業員を指します。

コロナ禍の今回のように、雇用を維持しながら、雇用保蔵者に自宅待機してもらい、国からの保障制度を活用している企業もたくさんあります。

その数は、2020年10~12月時点で、238万人いると言われています。
238万人という数字にピンときませんか?

・209万人・・・2021年4月時点での完全失業者数。前年同期比20万人増え、15カ月連続で増加しています。
・233万人・・・中小企業の経営者で、後継者がいないと言っている人の数。実に、全中小企業数の6割を占めています。

雇用保蔵者と完全失業者数の数は近似値であり、合せると、447万人の人たちが雇用の危機にさらされているということになります。

また、後継者不在の企業が廃業を余儀なくされていくと、どうなると思いますか?

2025年までに、全国の中小企業のうち、後継者がいないと言っている企業の約半分、127万社が廃業の危機にあり、650万人の失業者が生まれると予測されています。(平成29年度/経産省)

その数や、雇用保蔵者と完全失業者を合せた数の1,5倍です。
何と、全雇用者の1割の人たちが職にあぶれてしまうのです。
完全失業者率2,8%が一挙に10%になってしまうのです。

なぜ、この200万台の数字にこだわるのかと言いますと・・・。

私が住む愛知県名古屋市の人口が 232万3643人(令和3年時点)だからです。

名古屋の人口と同じ規模の人たちが失業している、後継者不在で廃業の危機にさらされている・・・そんな風に、とても身近な数字に感じられる「社会問題」だからです。

もちろん、これは日本全体にとっても、大きな社会問題です。
だからこそ、国も本腰を入れて雇用や失業問題、後継者難に対しての対策を考え、制度化しているのです。

今は順風満帆でも、明日は我が身です。
明日の我が身は、日本の我が身でもあります。
国も企業も働く本人も一蓮托生。

お互いが一隅を照らし合いながら共生する――そんな時代になったこと、忘れたくないものです。

まずは一歩、踏み出すことです。

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