70代社長が40代後継者に事業承継できない決定的な理由はコレだ

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2025年、日本の中小企業の3分の1が廃業する!?

後継者のいない70歳以上の社長は、日本にどれぐらいいるかご存知ですか?

127万人です。

実に、全体の3分の1を占めているという驚きのデータです。

本来なら、70代は後継者に事業承継して社長を卒業する年代です。
でも、「後継者がいない」のです。

しかも、後継者不在によって、5年後に黒字廃業する可能性のある企業は60万社と言われています。

業績が良くても廃業せざるを得ない企業がたくさんある――これは大きな社会問題です。

70代の「団塊の世代」が昭和の高度成長をリードしてきた

さて、70年代の社長は、どんな特徴を持っているでしょうか?

戦後の1947年~1949年は、日本の歴史の中で生まれた子供の数がいちばん多く、人口分布が多い世代です。この世代は、「団塊の世代」と呼ばれています。

彼らは戦後の混乱期から始まる日本の復興を成し遂げました。
自ら会社を立ち上げ、日本経済を高度成長させてきた人たちです。

団塊の世代の特徴を上げてみると――。

・安保闘争を始めとする学生運動を推進
・西洋文化を取り入れ、クルマ、音楽、ファッションなどの新しいライフスタイルを創造
・バブルに踊り、バブル・ショックで苦悩
・同期が多いことから、「競争社会」の中で勝ち抜くことが大きな価値観
・企業戦士としてトコトン仕事をすることが美学

昭和時代のリーダーシップを執り、平成時代の「失われた30年間」を耐えてきた存在です。

私の年代は、10年先輩の団塊の世代の背中を見て育ってきました。

たとえば、団塊の世代の永ちゃんこと、矢沢永吉氏の存在のおかげで、年を取ることが「老化」ではなく、「楽しいこと」に思えてくるのです。

そういう意味では、団塊の世代に強い感謝の念を持っているのですが、一方で、後継者がいないことによって、社長を卒業できないで苦境の立場にも置かれているのです。

人生100年時代です。

身軽になって、次の人生を楽みたい、そう思っても、なかなかうまくいっていないのが現状なのです。

40代の「団塊ジュニア」「ロスジェネ」が味わった、失われた30年の悲哀

それでは、世代的に、本来事業承継すべき世代はどうでしょうか?
団塊世代の子供世代が対象になりますから、40代がメインでしょうか。

ここで、2つの世代の呼称をご紹介します。

●団塊ジュニア

団塊ジュニアとは、1971年~74年生まれの「第2次ベビーブーム世代」のことを指します。2021年現在の年齢でいうと、47歳~50歳になります。

バブル崩壊後の就職氷河期を生き抜き、長らく不況に苦しめられてきた世代と言えます。そういう意味では、70代の親の団塊の世代同様、「競争社会」の中で生きてきたわけですが、就職難で、たとえ就職したとしても給料は上がらず、仕事や生活に対する構え方が団塊の世代と異なるのです。

●ロスジェネ世代

「ロスジェネ」は「ロスト・ジェネレーション」の略です。「失われた世代」です。バブル崩壊から10年の間に就職活動をした人たちのことを指します。1970年~1982年頃に生まれた世代ですから、2021年現在の年齢でいうと、39歳~51歳になります。

団塊ジュニアとロスジェネ世代、実は世代的にダブっているのです。この2つの世代をひとつの世代とみなして、その特徴を上げてみると――。

・バブル・ショックによる就職難、実質賃金目減り
・自分の専門知識・スキルの習得と磨き込み
・将来のために貯蓄に励み、安定してから結婚(晩婚化)
・冒険は避け、安定した正社員として働くことを希望
・価値観は、仲間と喜びをシェアすること

個人差はありますが、バブルの恩恵に預からず、バブル・ショック後に社会人になった世代ですから、将来に対して堅実に生きることを志向する世代です。

第三者への事業売却は待ったなし。世代間のギャップに向き合おう

世代ですべてを語ることはできません。

しかし、特に社会人になった時の世の中の動きや価値観に影響されて、世代の価値観や志向が、少なからず形成されることは間違いありません。

高度成長まっしぐらな時に社会人になり、起業した世代と、バブル・ショックによって、ある意味、煮え湯を飲まされた世代の間にギャップが生じるのは当然のことです。

生きる価値観も違えば、将来に対する志向も違います。

親が我が子を後継者にしたいと思っても、「会社は継ぎたくない」と思っている子供は相当多いもの推測されます。

リスクに対するアレルギーとでも言ったらいいでしょうか。

「サラリーマンとしての安定」「スキルを磨いてから転職」「副業を成功してからのひとり起業」など、自分の将来に対して、リスクの少ない選択肢と時間を用意しようとしている面があります。

「後継者不在が127万社」この数字が、そのことを雄弁にもの語っていると言えるでしょう。

後継者のいない中小企業の社長がなすべきことは、今のうちにしっかり事業承継をし、社長を卒業して身軽になること。そして、次の人生を楽しむことです。

身内(親族、社員)が無理なら、第三者に事業売却しましょう。

2021年11月より、オリックスが中小企業のM&Aの仲介業に進出しました。
既に2000社の中小企業の社長から相談が舞い込んでいるようです。

2025年問題・・・団塊の世代が現役を卒業と同時に、後継者のいない127万社が廃業する可能性があるという社会問題。

この問題を解決しなければ、廃業と共に600万人の失業者が生まれ、日本経済が22兆円減速すると言われています。

もはや、待ったなしの状況です。

世代間のギャップを受け止め、第三者への事業売却=会社エグジットを一度計画してみることをおすすめします。

※文中のデータは、経済産業省、中小企業庁の調査より

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