「愛の会社エグジット」への道 第14話 ◎「金額次第では決裂も覚悟」のスタンスで

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・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・私が会社を第三者に事業承継したのは会社を経営して25年経った時でした。
その間、会社を倒産の危機に追いやったことが2回ほどありました。

応援してくれていた両親が立て続けに他界しました。
複数のベテラン社員を後継者として育成しようとしましたが、ことごとく失敗しました。

そして、ふとしたことがきっかけとなり、1年後には会社を売却することになったというわけです。売却に至るまではさまざまな葛藤がありました。

今回は、シリーズで、そのてんまつを小説仕立てでご紹介します。
読んでいただけたら幸いです。
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交渉の基本は「対等に渡り合うこと」

「現在価値に、将来利益5年分、25年間の社員・顧客価値を含めたのれん代、合せて、〇〇〇でどうでしょう」

私は、根拠を示して、売却額を提示しました。

「それは、ちょっと・・・ね」
Hの顧問税理士がまず反応しました。

「こちらでも試算したのですが、結構ギャップがあるようです」

根拠を聞いてみると、相手方は、あくまでも現在価値をベースに試算しているようでした。

売却側は高く、買収側は低く提示する・・・交渉の基本です。

「今は、この金額でお考え下さい、としか言えません」
あくまでも対等に・・・隣りに控えるYの言葉を糧に、私はその場にいました。

「私は長年、顧問税理士として、おつきあいしてきましたが、現在の顧問先の中でも、高い価値を持った会社です。嘘偽りはありません」

Yが援護射撃してくれました。

「2社がひとつになれば、大きな価値を生むことはお互い分かっているから、少しじっくり考えさせてくれ」
1回目の交渉は、Hの言葉で終了となりました。

会社の将来価値やのれん代をどれぐらい乗せるか。H側に考慮してもらいたいのは、そこだった。金額次第では、決裂も覚悟しなくてはいけなかった。

(続く)

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