昭和時代、「転職」は公言できないマイナーな行為だった。
今から40年近く前、㈱リクルートに入社した当時、転職マーケットはまだ小さい時代でした。
「週刊就職情報関東版」の創刊によって、転職マーケットに風穴が開けられ、女性向けの転職情報誌「とらばーゆ」が創刊されて100号記念の時に、私はとらばーゆの編集部に配属になりました。
当時は新卒採用が王道。リクルートブック等を利用し、4月に一斉入社するというのが、大手企業中心の日本の人材採用モデルでした。
中小企業はどうだったか――。
知名度が低い分、採用まで至らないことも多く、縁故採用で補っている状態でした。
新卒が採用できない分、中小企業の多くは中途採用を強いられました。
強いられた、という表現は強すぎるかもしれませんが、そう捉える企業が多かったというのが、私の肌感覚です。
中途採用はまだまだクローズドマーケットだったのです。
「中途採用の拡大」は、今や政府の成長戦略のひとつ。
「辛抱が足りない」「前の会社で何か問題でも起こしたんじゃないか」
当時は、そんな悪いイメージで転職者を捉える時代でした。
そのため、転職する当人も、声を大にすることはありませんでした。
肩身の狭い思いをした人がたくさんいましたね。
そんな世相もあり、私もスタッフの一人として、転職は人生のステップアップという啓蒙活動を続け、転職市場の開拓に勤しんできました。
今はどうでしょうか。高卒の4割、大卒の3割が、入社3年後に辞める時代に変わったのです。
しかも、かつて、ほとんどの転職者は年収が下がりましたが、今や、年収アップするステップアップ転職者が続出しています。
そして、政府の成長戦略の一つとして「中途採用の拡大」を推し進めるほど、転職は一般化し、マーケットが拡大しているのです。
公言できなくても、「会社売却」は既にメジャーな手段。
一方、「会社を売ること」は、まだまだクローズドマーケットで、本人も、世間も色眼鏡で見ている状態です。
当時の「転職」と同じですが、反面、全く違う様相を呈しています。
その反面とは何か――。
後継者不在で会社の将来に不安を抱いている企業が、250万社存在していること。実に中小企業全体の3分の2です。
この状態が続くと、2025年に大廃業時代が到来することになります。
現在、日本は経済的・社会的危機を抱えているのです。
これに対し、政府はいくつかの支援を考えています。
・各都道府県に「事業引継ぎ支援センター」を設置。相談件数を目標化。
・中小企業の後継者に債務保証を求めないよう指導。
・事業承継税制、贈与税の猶予条件を緩和。
・「お試し雇用」の費用補助。
中小企業庁の調査によりますと、親族や従業員以外の第三者による事業承継は、30年以上前は4%、ここ5年では、10倍の約40%に増えているのです。
これが現実です。
もはや「会社を売ること」はメジャーな手段になっているのです。
中小企業の社長さん、ご家族の方、ベテラン社員の皆さん、会社を売ることは、自分のためになるのです。そして、日本経済のためになるのです。
後継者がいないからと言って、座して廃業を待つ方が良くありません。
時間を先延ばししている場合でもありません。
「第三者」を後継者と捉えれば、それも、れっきとした事業承継なのです。
●「会社の売却」は「転職」同様、既にメジャーな手段。
●「会社の売却」は、社長である自分とステークホルダーと日本を救うことになる。
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