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コロナ禍の中、人命か経済か?
性善説、性悪説でものごとを判断しようとした時代が続いてきました。
・人間は生まれながらに悪いことをする存在。
だから、人間の行動は制限して、しっかり取り締まらなければならない。
・人間は生まれながらにして良いことをする存在。
だから、人間の行動は極力許容して、悪いところは直せばいい。
しかも、この二者択一は今も受け継がれているようです。
たとえば、コロナ禍で苦しんでいる国民に対する支援金の配布について。
それを10日で完了する国もあれば、日本のように時間のかかる国もあります。
仕組みができていないから。確かにそうですが、それは言い訳です。
「人は、この支援金をだまし取ろうとするから、まずは入口の審査を厳しくしよう」という考え方がベースにあるからです。
そう、あえて言うなら、日本は「親方日の丸」で国民を厳しく取り締まる、性悪説を前提とする国と言ってもいいでしょう。
一方、欧米ではすかさず支援金を配布した国がありました。
もちろん、仕組みが整備されていることもありますが、神と個人の契約で人間は存在しているという宗教的な性善説に立っているからです。
でも、日本がダメと言っているわけではありません。
問題にしたいのは、人は二者択一でものごとを判断する習慣があるということです。
もちろん、コロナにおける支援金は「速く配布するもの」。それがすべてです。
性善説か性悪説か、もっと現実的に言うと、「人命か経済か」の二者択一で決めることではないということです。
あえていうなら「人命も経済も」です。
二者択一ではなく、二者同時です。
二者択一は戦争に発展。歴史がそれを証明している
・資本主義か共産主義か
・金持ちか貧乏か
・アメリカか中国か
例を挙げるまでもなく、このような2者択一によって、2者同士の争いがおこり、ひいては戦争で大切な人命がたくさん失われてきました。しかも、もう止めようと決議しても、こりずにまた争いがおこる。それが今までの歴史でした。
なぜ、こりないのか?
それは、ものごとを判断する軸は「二者択一」であるとすり込まれてきたからです。この轍から抜け出ない限り、争いを鎮火させることはできません。
では、この二者択一の習慣から抜け出すためにはどうすればいいでしょうか?
それは、「YesかNoか」でものごとを判断することを止めることです。
世界の争いを防止するには、日本の「選択眼」を広げるべし
欧米は今まで世界のリーダーシップを執ってきました。
そのもとになる判断が「YesかNoか」です。
その価値観が世界を植民地化してきました
自分たちはYesで、他の国の人たちはNo。だから力によって世界を制覇していくのはYesだったのです。
今でもその価値観が根底にあるためか、争いが止むことはありません。
それでは、だれが、どう価値観を変えると争いを防止することができるのか。
それは、日本の価値観を、日本人が世界に伝えていくことです。
日本の価値観とは何か。
ひと言で言うと「二者同時」という価値観です。
「二者択一でものごとを判断しない」ということです。
・神道も仏教も同居している
・クリスマスの後に除夜の鐘が鳴る
まず、思い浮かぶのが、この二つの身近な例です。
海外から見ると節操がないと思われるかもしれませんが、これが争いを防止する価値観なのです。
歴史を振り返って、いくつか例示してみると――。
・論語もソロバンも企業活動には必要という理念で、500社の企業をデビューさせた(渋沢栄一)
・戦で負けた武田の騎馬隊を引き取った(徳川家康)
・明治維新後、もと徳川の幕閣を起用した(明治新政府)
いかがですか?
YesかNoの価値観で判断せず、良い悪いでバッサリやるのではなく、勝ち負けは置いておいて、お互いの良いところを取り入れるという「二者同時」の価値観を持っているのが日本なのです。
「神はすべてに宿る」という日本古来の価値観
この日本人の「お互いの良いところを取り入れる」という価値観はどこから来たのでしょうか?
日本古来からの「神はすべてに宿る」という価値観です。
年末になると、親は神棚や仏壇の他に、トイレや台所にもお供えをしていました。
「あらゆるところに神様はいるんだよ」
親は私にそう教えてくれました。
自然、モノ、場所、そしてそばにいる人間・・・すべてに神が宿っているから大事にする。それが日本の伝統的な価値観です。
この考え方で生きていけば、基本、争いが起こるはずはありません。
どこからも侵略されず、世界でいちばん長く続いてきた日本。
その存在自体が、それを証明しています。
これからこの価値観を世界に広げていくのは日本人です。
とはいっても、まだまだ日本が世界の中でリーダーシップを執っているとは言えません。
むしろ、今の日本は、政治面でも経済面でも外交面でも影響力がしりすぼみになっていると言わざるを得ません。
政治も企業も、すぐにやるべきことは「世代交代」
日本人がリーダーシップを執るためには何が必要か。
「政治も企業も世代交代すること」です。
明治維新は20代の若者たちが実現させました。
平均寿命が延びている今は、40代が対象の年代でしょう。
まずは世代交代をすることです。
後継者不在で悩んでいる中小企業の社長へ
ギリギリまで経営していたら、最終的には廃業に至ってしまいます。
そうなると、社員や取引先に迷惑をかける可能性が高く、自分の次の人生にも暗雲が立ち込めてしまいます。いちばんの良策は第三者に経営を譲ることです。
高齢な政治家のみなさんへ
日本を良く変えるための速度を上げるために、早期に引退して、若手政治家に権限を渡しましょう。
そして笑顔で見守り、引き継いだ政治家が最悪の手を打とうとしたなら、バックヤードからリードしてあげてください。
争いのない世界をつくるためには、日本人の価値観が必要です。
時は待ってくれません。
早々に世代交代しましょう。
人は自分の中に善いところと悪いところを併せ持っています。
善いところでつながり合えば世界は平和になるというお話でした。