バブルショックで得た、会社を倒産させないための3つの教訓

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起業して4年経ったときのことです。

バブルが弾けました。

会社はあっという間に傾き、本業の求人広告の事業だけでは会社を維持することがかなわないところまで追いつめられてしまいました。

そんな時、友人が手がけていた節水事業を手伝うチャンスをいただきました。

当時、広告代理店の多くがこの節水事業や節電事業を副業として手がけていました。

副業によって、自分の強みがはっきり見える

水をたくさん遣う事業は何だろう?

節水で経費節減が大きく見込める業界はどこだろう?

私はいろいろ考えてみて、飲食チェーン店、タクシー会社にアプローチすることにしました。飲食店は洗い場で、タクシーは洗車で、大量の水をつかいます。

バブルが弾け、一様に各社が経費節減をしている折、アポイントは次から次へと取れました。

アポイントが取れた後の営業の流れとしては――。

・どれぐらいの水圧でどれぐらいの水量を普段遣っているのか、専用の計測器でチェック
・水圧を変えずに水量を押えるバルブをタイプ設定し、1カ月でどれぐらいのコストダウンがのぞめるかを提案

そのまま契約というケースもありましたが、設置してみて、実際の水道料金が落ちたのかどうか見たいというケースがほとんどでした。

本来は、仮の設置であっても、取次店は事前購入するものです。支払いが先に発生してしまうのです。

私の場合は、友人の好意で、顧客との契約が成立したらという特別な条件にしてもらい、何とか営業活動を続けていくことができました。

契約も徐々に入ってきました。

副業によって、自分の弱みもはっきり見える

ところが、自分が不器用なことは知っていましたが、こんなにも不器用だとは思わなかった事態が次々と発生しました。

最初は友人の手伝いはあったものの、そのうち自分だけでバルブを設置するケースが増えていきます。つまり、工事も自分でやるようになったのです。

「おい、水の出が悪いぞ!」
「ちっとも水道料金が下がらないぞ!」

お叱りの言葉がどんどん舞い込んできます。

製品は申し分ないのですが、私のバルブの閉め方が悪かったのが主な原因でした。自分はこんなに不器用だったのかと、情けなくなりました。

時には厨房の床を滑って転びそうになったり、勢い余って、お客様に水をかけそうになったり・・・。

もはや、限界でした。

このままでは、お金が入ってこないばかりか、何よりも友人の信用に傷をつけてしまいます。

この時、私は思いました。
窮状にあっても、自分ができること、得意なこと、やりたい事に目を向けるべきだと。

本業回帰への欲求です。

私は、友人に謝罪し、取次業務から外してもらうことにしました。

副業によって、自分のやりたいことが再発見できる

本業に回帰すると、精神的に楽になりました。

己を知った分、以前より、営業活動に弾みがつくようになりました。

求人広告の本業も少しずつ業績が上向き始め、暗雲の間から少し光が差し込んでくるようになったのです。

そんなときです。

名古屋にアルバイトの情報誌が発刊されるという情報が入ってきたのです。

また、ほぼ時を同じくして、中途採用部門で、タクシードライバーの採用を促進するプロジェクトが発足したのです。

節水事業で窓口ができた飲食店にアルバイト情報の営業を、節水事業で窓口ができたタクシー会社に中途採用情報の営業を、という様に、営業活動にドライブがかかるようになっていきました。

おかげさまで、新しい顧客が増え、それからは経営も軌道に乗っていきました・・・。

本業回帰は原点回帰でもあります。

目の前のお金よりも、自分が長きに渡ってできることは何か、それがいちばん大事であることを、私は副業から学んだのです。

そして、一所懸命であれば、ムダなことは何もない。

その活動が次につながっていくのだということを自ら体感しました。

<窮状で得た3つの教訓>

・会社を維持するためには副業もいとわないこと→お金を稼がなければ会社は維持できない
・その副業は次の活動に活きること→副業で顧客獲得ができれば、次の事業の顧客になる
・何より、自分が何をやりたいのかが再発見できる