会社をつぶす一大事故の陰に300の不注意。ヒヤリ〇〇〇の法則で予防せよ

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会社が安定すると、脇が甘くなる。

・あなたの会社の規模が、少し大きくなったとします。
・社員10名、その中の3名は、入社5年以上のベテラン社員としましょう。
・最初の数年間は赤字を出した年もありましたが、今では毎年黒字基調で成長する会社になってきました。

いいことですね(^-^)

・一方、最近では顧客開拓も少なくなってきたようです。
・また、新しい商品・サービスを開発することもなく、ルーティンの仕事をこなすだけでいい、というようなマンネリ風土が出来上がってきていました。
・社員間のコミュニケーションも少なくなっていました。

黒字基調に安心し、会社全体に甘えの構造が出来上がってしまっていたのです。

そんな折、いちばん大きな顧客からあなたに連絡が入りました。

「君の会社との取引は、もう止める!」

顧客の社長からの苦情でした。

あなたがすぐ訪問したところ、原因が判明しました。

「ベテランに一任」は危険信号。

それは、1年に渡って起こっていたことでした。

まずは1年前。納入した商品の数が足りず、苦情が発生していたのです。
それをあなたは知りませんでした。


次に、半年前。一部キズものの商品を納入し、苦情が発生していました。
それもあなたは知りませんでした。


そして今回、納入が間に合わず、苦情が発生してしまったのです。

担当させていたのは、いちばん古株のベテランでした。

彼は、苦情の発生を社長であるあなたに報告・連絡・相談せず、自分で対応していたのです。

また、納入の数が徐々に減っていることを懸念していたあなたは、担当にその原因を聞いていましたが、彼の「先方の一時的な事情ですから、大丈夫です」という言葉を信じていたのです。その減った分の商品は、他社から購入していたのです。

今回の件で、先方の社長の積もり積もった怒りが爆発し、他社に全面的に切り換えるという話でした。

管理責任はもちろん社長にありますから、早期に解決しなければいけません。

さあ、あなたならどうしますか?

全社員が共有しなければ、事故はまた起きる。

ここで登場するのが、「1対29対300の法則」です。

ひとつの重大な事故の裏には、29件の軽い事故があり、さらにその裏には、300のヒヤリとする出来事やハッとするミス(ヒヤリハット)が隠されている、という法則です。

(アメリカの損保会社の調査部に在籍していたハインリッヒという人が、さまざまな事故や災害を調査して得た法則。「ハインリッヒの法則」とも呼ばれています)

私も、同じような経験をし、この法則に則って経営するようになりました。

ちなみに、社内では「ヒヤリハットの法則」と呼んでいました。

どう対応するのがいいのか——。

・日頃より、良いことよりも早く、ヒヤリハットを報告させることを義務化すること。

・その情報は、社長はもちろんのこと、全社員で共有すること。

・その一つひとつに関して、早期に解決すること。その解決法は、社長はもちろんのこと、全社員で共有すること。

・法則の意味をしっかり社内に浸透させること。

謝罪の上、このことを先方の社長に伝え、取引の復活を持ちかけてみましょう。

どうしても首を縦に振らず、後の祭りなら、二度と同じような事故を起こさないよう、この法則を実行していきましょう。

かつて、ある大手電機メーカーの商品が火を噴き、その情報がトップまでいかず、気づいた時には、大きな事件になっていたということがありました。
その会社は、新聞広告を使って謝罪し、翌年の業績は大きく落ち込んでしまったのです。

「人間は誰でもミスを犯す」から「人間は誰でもミスを防げる」へ。

マイナス情報ほどスピーディにトップまで上がらないと、とんでもない事件になります。

昨今は、上層部が意図的に情報を隠匿するという例まで出ていますね。

隠匿しても、それは必ず後で発覚するもの、と思わせられる事件がいくつか起こりました。そして、隠匿したこと自体が大きな責任問題として非難を浴びることになったのです。

ちょっとしたミスだから・・・という甘い考えは、全員の頭の中から消してしまいましょう。

☆間違ったことをして、それに苦しむことができない人間ほど、何度も間違ったことを繰り返す。(ラ・ロシュフコー/フランスの著述家)

☆恐れは逃げると倍になるが、立ち向かえば半分になる。(ウィンストン・チャーチル/イギリスの政治家)

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