経営危機のとき、相談できる相手はいますか?
何事も自分で決める自由がある――社長の仕事の醍醐味をひと言で言うと、そういうことではないでしょうか。
しかし、その一方、不自由極まりないことがあります。
それは、気軽に周りに悩みを打ち明けられないことです。
「うちの会社、業績が良くないから何とかしたいんだけど、どうしたらいいと思う?」
社員に、こんな相談はうかつにはできません。
こんな会社にいたらヤバい!と、退職されるのがオチです。
「資金繰りがうまくいかないので、支払を1カ月延ばしてもらっていいですか?」
仕入先に対して、ストレートにそんなお願いはできません。
よっぽど強い信頼関係を結べていたら、受け入れてもらえるお願いかもしれません。
でも、それにしても2回、3回とお願いできるわけではありません。
基本はビジネスの関係なのですから、支払が滞れば関係は切れてしまいます。
普通は、1回支払いが遅れたら、次から商品は納入されません。
「前金で」と、条件がつきます。
「資金繰りがうまくいかないので、入金を早めてもらえませんか?」
顧客も、仕入先と同じです。
銀行の返済に関しても、です。
会社がうまく回っているときは、決める自由を謳歌できます。
うまく回っていないときは、決める自由は自分にはなく、相談相手の協力が必要になるのです。
あなたに後継者がいなかったら、事業承継あきらめますか?
それでは、いちばんの相談相手は誰でしょうか?
結論から言うと、それは利害関係のない社長仲間です。
バブル・ショックから立ち直った時、少し気が抜けたのか、私はしばらく孤独感から抜け出すことができませんでした。
バブル・ショックは、誰に相談する、しないに関わらず、会社が急降下していく状況に対して有無を言わせない対応策を取る必要がありました。
・前述した資金繰りのことで、仕入先、顧客、銀行に対してストレートにお願いせざるを得ませんでした。もちろん、様々な条件を付けられましたが・・・。
・最低限の生活費を確保する以外は、経費を大幅にカットせざるを得ませんでした。その一環で、オフィスを移転。賃借料も半額以下のところに引っ越しました。
・社員に退職勧奨する必要がありましたが、その必要もなく、ひとりを残し、すべての社員から退職願を受け取ることになりました。
そんな状態が3年ほど続き、事業も軌道に乗り始め、そろそろ社員を募集しようとしている矢先でした。
緊張感から解放され、これからという時に、心身に変調をきたしたのです。
弛緩した途端に、たまりにたまったものが心と体を襲ってきたようでした。
休息を取れば、体はもとに戻ります。
でも、心に巣食った孤独感は容赦なく私を攻めてきました。
そんな折、顧客であり、メンターでもあった先輩社長に打ち明けたところ、
「同じ立場の仲間をたくさんつくりなさい」
そう言われ、地域に密着した異業種交流会を紹介してもらいました。
その会に入会し、同じ活動で汗を流すうち、周りには言えない悩みを共有する機会が増え、解決策が見つかっていくと共に、いつの間にか孤独感が消えていきました。
2度目の危機、リーマン・ショックの時、会社を維持できたのはなぜか――。
もちろん、バブル・ショックの経験が活きたことも理由として挙げられますが、いちばん大きな理由は、相談できる社長仲間ができたことです。
たとえば、あなたがもし後継者のいない社長なら、相談相手はいますか?
利害関係のない社長仲間はいますか?
相談できずにそのままにしていたら、廃業の道を歩むことになってしまいます。
あなたの将来、大切な家族・社員、迷惑をかけたくない取引先を思い、次の手を打ちましょう。
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