もうすぐ冬ですね。
というぐらい、肌寒い日がやってきています。
今や秋は短く、急激な寒暖差に体調不良になりやすいですから、気をつけましょう。
3年で後継者育成に臨んだら、5人の社員が去っていった
ところで、まだ後継者がいない経営者のあなたに質問です。
「後継者を決めるなら、社長を卒業する何年前がいいでしょうか?」
「3年前です」
かつての私ならそう答えていたでしょう。
でも、これは、私の経験上ではNOです。
なぜなら、私はそう決めて大失敗をしたからです。
私が事業承継を考えたのは50歳の時。
起業して20年経っていました。
最初に白羽の矢を立てたのは、身内のベテラン社員2名。
そのどちらかを3年後に後継者にするべく、それぞれに大きなミッションを与え、競わせるようにしました。
その結果、2人とも会社を去っていきました。
ひとりはその後、自分で会社を立ち上げました。
私は去るものは追わず、反省のないまま、中途採用で幹部候補を3人採用し、同じように後継者候補として大きなミッションを与え、競わせました。
その結果、3人とも会社を去っていきました。
さすがに私はつかみどころのない喪失感と会社の今後の危機感を覚え、どん底の状態に身をさらすことになりました。
このままでは会社は続かないと・・・。
リーマン・ショックと重なり、業績が落ち込んでいたことにも焦りを感じていました。
そして、この業績の落ち込みが逆に焦りを生み、後継者育成を「3年」という短期間にさせたのではないか。そう反省するに至りました。
後継者を育成するなら、5つのステップを踏もう
よくよく考えてみると、後継者にバトンタッチするには、いくつかのステップを踏んでいく必要があります。
・基礎から叩き込む
・社長のあるべき姿を示す
・自分が通った道を、同じように経験させる
・自他ともに認める№2のポジションを経験させ、徐々に経営権を委譲していく
・事業承継したあとも、しばらくは補佐する
この5つのプロセスを踏ませるには、10年はかかるでしょう。
ベテラン社員にも、中途採用した幹部候補の社員にも、この5プロセスを「3年」でやろうとすること自体、無理があったのです。
もちろん、私の育成能力にも問題はあったでしょうが。
後継者の育成に失敗した私は、その後、1年で第三者に会社エグジット(売却)するに至りました。
「次に自分は何がしたいか」の目印が、社長の卒業時期
自分の失敗を踏まえて、今後事業承継する経営者に伝えたいこと。
それは「後継者は10年かけて育成しましょう」ということです。
今、後継者のいない経営者は日本全国の6割を占めています。
しかも、60代以上の経営者は6割。
今から腰を据え、10年かけて身内を後継者として育成するか、短期間で第三者に会社エグジットするか、早期に決める必要があります。時間は待ってくれません。
自分が育ててきた会社です。
起業と事業承継は、社長自身にしかできない2大事業です。
まずは、経営者のいちばん大きな仕事、「決断」をすることです。
起業という入口に挑戦したときのことを思い出しましょう。
事業承継という出口も、同じく挑戦なのですから。
ちなみに、事業承継をいつにするかを判断する上で、目標にする目印があります。それは、次に自分がやりたいことをいつ実行するかを決めることです。
そうすれば、それが社長の卒業の目印になります。
それは、たとえば、行きたいところにのんびり旅行することでいいのです。
重い荷物を下ろし、自分の時間をのびのびと自分のためにつかうこと。
そんな想像を、そろそろしてみたらいかがでしょうか。
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