国の助成金はいつかは終わる。コロナ禍だからこそ「会社エグジット」推奨

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「雇用調整助成金」4兆円。支払先は日本の企業数に匹敵する400万件。

「雇用調整助成金」、ご存じですか?

休業手当を支払って雇用を守った企業に対し、国がその休業手当の一部を助成する制度のことです。

もともとは1人当たりの日額の上限は8370円。最大3分の2を助成するものでしたが、今回のコロナ禍の影響を重く見て、国は特例として2020年春より、助成金を拡充してきました。

現在は、緊急事態宣言などの対象地域は日額上限1万5000円、助成率は最大10割。それ以外の地域は、日額上限が1万3500円、助成率は最大9割となっています。

この「雇用調整助成金」が、1年半で4兆円を超えたのです。(2020年3月~2021年7月23日)この金額がいかに大きいかは、リーマン・ショック時の助成金を見ればわかります。その当時(2019年度)の支払が6534億円。4兆円がいかに大きいかがわかります。

しかも、財源が確保できず、4兆円の中の1兆1000億円は税金から、1兆7000億円は「失業者向け事業」から借りてしのぐことになったのです。

今後の国民の税負担は、相当重いものになっていくでしょう。

そして、何よりも、次の数字にご注目ください。

この1年半で助成金の支給が決定した数は約400万件。
この「400万件」という数字です。

私は、この数字を見て悪寒が走りました。

日本の全体の企業数は421万社(大企業を除いた中小企業は419、8万社)です。
なんと、企業数にほぼ匹敵する数に助成金が支払われているということです。

もちろん、件数ですから、延べ社数ということになりますが、それにしても、日本全国の企業が、今回のコロナ禍で苦境に陥ったということなのです。

助成金がストップしたら「潜在転職者」は失業者に変わる!?

この間、企業の従業員は、業績が思わしくなくても、いったんは生活することができている状態です。

ちなみに、2020年に転職した人の数は、2019年より1割少ない319万人にとどまっています。10年ぶりに減少に転じています。(10年前のリーマン・ショック時の転職者数は、やはり前年より1割少ない283万人)

2020年の転職者のうち、転職理由として、「より良い条件の仕事を探すため」という前向き転職者が前年より14万人減り、「人員整理・退職勧奨のため」という後ろ向き転職者は4万人増えています。

転職者が減るということは、業績が悪化し、その分失業者が増えるという構図です。そういう意味では、助成金によって失業者をくい止めていることになります。

不思議に思われるかもしれませんが、企業倒産に至っては、2020年は2019年より少なくなっています。

一見いいことに思えますが、「潜在的失業者」を企業が多く抱えていることになり、助成金の支給が途絶えたら、倒産する企業が増え、連動して一挙に失業者が増えることが予想されます。

なんと、「副業経験者」が半数以上。理由は収入源と将来不安

ところで、「副業経験あり」という人が5割を超えているという結果も出ています。

・自由に使えるお金がほしいから 46%
・生活費が足りないから     46%
・コロナ禍で収入が減ったから  45%

この3つが大きな理由になっています(複数回答)

月収はどうか。

・月収 5万円~10万円     27%
・月収 3万円~5万円      24%
・月収 1万円~3万円      22%

また、「副業・ダブルワークに興味あり」とする人が91%に上っています。

コロナ禍だからこそ、それをきっかけに「会社の第三者承継」を

いかがですか?

「雇用調整助成金」が充実していることによって、企業は倒産を免れ、失業者数も大きく増加しているわけではありません。

しかし、助成金がストップすれば、倒産件数、失業者数は増えることは目に見えています。
かといって、助成金が膨らんでいけばいくほど、国民の税負担は重くのしかかってきます。

そんな中で、将来に不安を抱くサラリーマンは、副業やダブルワークを手がけることによって、今の収入を補い、会社が倒産した後に路頭に迷わないために、行動に移しています。あるいは、行動に移そうとしています。

そこで、私が中小企業の社長に提言したいことは次の通りです。

今の会社の資産価値(現在の資産+将来資産+社員・取引先・技術などののれん代)をざっくり査定し、このまま業績が落ち込んで資産価値が減っていく前に、第三者に事業売却をしたらいかがでしょうか。

現在、後継者不在の企業が3分の2に至っています。
黒字倒産する会社も増えています。
60代以上の社長は全体の6割のシェアを占めています。
実は、コロナ禍がなくても、日本全体が次世代に事業承継する時期なのです。

コロナ禍を契機として、次世代に会社を譲ることを考えてみたらいかがでしょうか?もちろん、事業承継に詳しい専門家を相棒にして。

そして、重い荷物を下ろし、周りの幸せも考えた上で、次の人生に踏み出すというのはいかがでしょうか。

私は、この一連の事業売却を「愛の会社エグジット 売り手も買い手も幸せになる事業売却」という本にまとめ、2021年6月に出版しました。

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